高台家の人々

6月4日(土)公開 TOHOシネマズスカラ座ほか全国ロードショー

妄想女子とテレパス青年の恋の行方

高台家の人々

 平野木絵は商事会社に勤める平凡なOL。口下手で人付き合いは苦手だが、その反動なのか、荒唐無稽でスケールの大きな妄想にふけるクセがある。もちろんこれは、彼女自身しか知らないささやかな楽しみだ。そんな彼女の目の前に現れたのが、イケメンのエリート社員・高台光正だった。どういうわけか彼は木絵のことが気に入って、あっという間に交際スタートする。そして婚約……。じつは光正には近くにいる人の心を読み取る不思議な力があり、奇想天外な妄想にふける木絵の自由な心が光正の頑なな気持ちをほぐしたのだ。光正の妹弟も同じ力の持ち主。高台家を訪れた木絵はそれを知って、自分の心が読まれていたことにショックを受ける。光正のことは大好きだ。でも彼と妹弟の前で、自分の心が丸裸にされることには耐えられない。木絵は光正の前で、自分の心を閉ざすようになる。もう自由な妄想も許されない。木絵は光正との関係に息苦しさを感じるようになる。

 月刊YOUに連載されている森本梢子の同名人気コミックを、『謎解きはディナーのあとで』(2013)の土方政人監督が映画化。主演は綾瀬はるかと斎藤工。天然ボケが似合う綾瀬はるかと、貴公子然とした斎藤工はキャラクターにピッタリで、このふたり中心に回っていく映画の序盤はとても楽しく観ていられる。映画の予告編で紹介していたのもこの序盤部分が多いのだが、できれば「妄想女子の頭の中を見て大ウケするテレパス」というコミカルなエピソードを、もう少し長く見ていたかった。というのもこの映画、ヒロインとテレパス青年が婚約して以降はコミカルな要素も減って、急速に失速してしまうのだ。主人公たちの出会いから婚約までのスピード感に比べると、それ以降の展開がだいぶもたついてしまうのだ。原作のエピソードをどう消化するかという難しい課題もあるのだろうが、これは脚本の構成が悪かったと思う。中盤以降のエピソードが混みすぎなのだ。

 配役では高台家の当主夫妻が面白すぎて、これに中盤以降の話がだいぶ食われてしまった。何しろ市村正親と大地真央が夫婦なのだ。劇団四季の元看板俳優と、宝塚歌劇団の元トップスターだ。オペラ座の怪人とスカーレット・オハラのカップルだ。このふたりが並んでいるだけで、その場の空気の密度が濃くなる。他の出演者たちが全員束になってかかっても、このふたりが作り出す濃厚な世界を突き崩せなくなる。いや、本当は突き崩さないとマズイのだ。この両親の存在は全体のアクセントであって、本来のドラマは木絵と光正の若いカップルの側でなければならない。しかしこの映画は結局、ドラマの主導権を主人公たちが奪い返せないまま終わってしまったと思う。

 テレパスの光正は木絵の妄想に大ウケして彼女を好きになるのだが、物語の途中からは彼女が心を閉ざして妄想が見えなくなってしまう。観客にとっても、これはとても残念。木絵の妄想がもっと見たかった。

109シネマズ名古屋(シアター3)にて
配給:東宝
2016年|1時間56分|日本|カラー|ビスタサイズ
公式HP: http://koudaike-movie.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt5180618/

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