七人の侍(4Kデジタルリマスター版)

10月8日(土)公開 午前十時の映画祭7にて

映像と音が新鮮に生まれ変わった黒澤明の代表作!

午前十時の映画祭7

 戦国時代末期。野武士の略奪に苦しめられていた山間の村が、侍を雇って野武士と戦うことを決意する。だがこれといった金のない村人たちに用意できるのは、侍に腹一倍食わせる米の飯だけだ。町に出た農民たちは、それでもさんざん苦労した末に島田勘兵衛という中年の浪人と巡り会う。村人の窮状を知って、勘兵衛は村に行くことを決意。彼を慕って押しかけ弟子になった勝四郎、勘兵衛に誘われて人柄に惚れ込んだ五郎兵衛、勘兵衛の配下として幾度も戦に出た七郎次、腕はさほどでもないが愛想のいい平八、武者修行中の剣客久蔵、さらに野良犬のような目をした自称サムライの菊千代が仲間になった。こうして侍たちを迎え入れた村は、勘兵衛の指示に従って野武士を迎え撃つための備えを始める。麦の刈り入れが終わった頃、いよいよ野武士の一群が村にやって来る。要塞のように守りを固めた村ではあるが、次々と襲いかかる騎馬の野武士たちに勝つことができるのか?

 黒澤明は生涯に30本の監督作を残している。『七人の侍』はその代表作だが、僕はこれをあまり高く評価していなかった。理由はまず長いこと。何しろ途中休憩も入れて3時間半もあるのだ。これは僕が黒澤作品のナンバーワンだと考える『椿三十郎』(1時間36分)を、まるまる2回観てまだ時間が余る計算だ。だが上映時間の長さ以上に問題なのが、録音の悪さだった。場面によっては台詞が何を言っているのかまったくわからない。特に三船敏郎が演じる菊千代の叫ぶような台詞や、農民の与平を演じる左卜全の台詞は、多くのシーンで割れたりひずんだりこもったりして聞き取れない。これが映画のリアリズムを破綻させて、映画を観ていても興を削がれる最大の理由になっていたのだ。だが今回の4Kデジタルリマスター版では、それらが大きく改善されている。声が聞き取りにくい場面もまだあるが、それにでも映画のリアリズムが損なわれることはなくなったと思う。

 今回の映画では音声が著しく改善したことにより、早坂文雄の音楽がくっきりと聞こえる。これでキャラクターごとの主題を多用した、黒澤流の映画音楽演出がはっきりと見えるようになった。また画面からもノイズが消えて、昭和29年の『七人の侍』が、昭和40年の『赤ひげ』と遜色のないリッチで艶やかな映像になった。これにより画面の中に人物や風景をどう配置させるかという絵作りの部分で、画家出身である黒澤明がいかに完全主義者であったかがありありとわかるはずだ。何しろどの場面をとっても完璧な構図! もう何度も観ている映画で、主要な場面の演出や台詞などもすっかり覚え込んでしまっている作品だ。にもかかわらず今回の『七人の侍』には、まるで今作られたばかりの新しい映画を初めて観たような新鮮さがある。この映画を観たからには、僕自身の黒澤作品への評価を修正せねばなるまい。黒澤明のナンバーワン作品は、やはり『七人の侍』である!

TOHOシネマズ名古屋ベイシティ(スクリーン1)にて
配給:東宝
1954年|3時間27分|日本|モノクロ|サイズ|サウンド
公式HP: http://asa10.eiga.com/2016/cinema/611.html
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt0047478/

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