続・夕陽のガンマン/地獄の決斗

10月22日(土)公開 午前十時の映画祭7にて

マカロニウエスタンの古典を大画面で味わう

午前十時の映画祭7

 南北戦争時代のアメリカ。国を二分する激しい戦いの中で、自分たちの欲望のためだけに銃を握る男たちがいた。メキシコ人の賞金首で幾度も危機をくぐり抜けてしぶとく生き残るトゥーコ(汚い奴)、金さえ受け取ればどんな仕事も請け負う冷酷非情な殺し屋エンジェル・アイ(悪い奴)、トゥーコと組んで賞金詐欺の片棒を担いでいる相棒ブロンディ(いい奴)だ。エンジェルは南軍の軍資金20万ドルの行方を追っていたが、隠し場所を知る兵士は北軍の襲撃に遭って重症を負い、トゥーコとブロンディの目の前で息絶える。兵士は死の直前、トゥーコとブロンディに金の隠し場所の情報を半分ずつ伝えていた。しかしふたりは互いの裏切りを恐れ、自分の知っている情報を相手に伝えない。金を手に入れるには、互いに協力し合うしかないのだ。その後ふたりは北軍の下士官に成りすましたエンジェルに捕らえられ、拷問を受けたトゥーコは自分の知る情報を話してしまう……。

 1966年に製作された、上映時間約3時間の大作マカロニウエスタン(イタリア製西部劇)。クリント・イーストウッドが「名無しの男」を演じた、『荒野の用心棒』(1964)『夕陽のガンマン』(1965)に続く「ドル箱三部作」の3作目だ。アメリカ製西部劇の安価なイミテーションと思われがちなマカロニウエスタンだが、これは南北戦争時代の激しい戦闘や橋の爆破など、大がかりなスペクタクルシーンを交えた作品になっている。映画導入部のいかにもうらぶれたマカロニ臭と、終盤クライマックスのギャップには驚かされる。監督はセルジオ・レオーネ。主演はイーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラック。一般的にはイーストウッド演じる名無しの男(ブロンディ)が主人公と目される映画だろうが、物語をリードしていくのはウォラックが演じた「汚い奴」のトゥーコだ。3人の主人公たちの中で、彼だけは過去の人生が丁寧に描かれる。

 非常に暴力的なアクション映画であることは間違いないのだが、同時にこの映画には反戦映画的なにおいも感じられる。主人公たちやその周囲に群がる強欲な人間どもは、自分たちの欲得のために人を殺し、自らも殺される。だがそれ以上に多くの血が流されるのは、戦争においてなのだ。この映画には戦争に巻き込まれ傷ついて死んでいく兵士たちの姿や、戦いに敗れて屈辱的な捕虜生活を送る者たちの姿が、隠された軍資金探しというストーリーとは無関係にしつこく描かれる。自分の意志で殺し合いをする悪党たちの自由さに比べて、無益な戦争を無理矢理に戦わされている兵士たちはいかにも哀れだ。こうした描写の中には、セルジオ・レオーネ自身の戦争に対する思いが直接・間接に反映しているのではないだろうか。映画が作られた時代は、第二次大戦が終わって20年ほどしかたっていない。1929年のレオーネは、ちょうど戦争の時代に少年時代を過ごしていたのだ。

(原題:IL BUONO, IL BRUTTO, IL CATTIVO)

TOHOシネマズ名古屋ベイシティ(プレミアムスクリーン2)にて
配給:東宝東和
1966年|2時間59分|イタリア|カラー|2.35:1|モノラル
公式HP: http://asa10.eiga.com/2016/cinema/614.html
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt0060196/

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