君の名は。

8月26日(金)公開 全国ロードショー

名前すら忘れてしまった運命の人

君の名は。

 夢を見て目覚めた朝。最初は夢の内容を覚えているのに、じきにみんな忘れてしまう……。山に囲まれた辺鄙な田舎町に住む女子高生・宮水三葉は、ある日とても奇妙な夢を見た。三葉は夢の中で東京の男子高校生・立花瀧になっているのだ。憧れていた東京の暮らし。しかし夢の中のフワフワした非現実感はなく、その夢はありとあらゆる点が細部までリアルだった。そんな夢を何度か観た後、三葉はそれが夢ではないことを確信する。自分は何日かに一度、東京の男子高校生と意識が入れ替わっているのだ。このことには相手も気づいていた。三葉と瀧は互いに協定を結び、この不思議な現象を楽しみ始める。そしてこの奇妙な日々の積み重ねの中で、ふたりは互いを特別な人として意識するようになっていた。だが互いがそんな気持ちを抱き始めたとき、体と意識の入れ替わりは突然ストップしてしまう。瀧は意を決して三葉に直接電話してみるが、電話の先には誰も出なかった。

 現時点(11月24日)で日本国内の歴代総合興行収入ランキング7位に位置し、さらに成績を伸ばしている大ヒット長編アニメーションを、封切りから3ヶ月もたってからようやく観てきた。確かに面白いと思う。でもなぜこの映画が、これほど大ヒットしているのかは正直よくわからない。たぶん映画を作った人たちや配給している東宝も、この映画のここまでのヒットはまったく予想していなかったに違いない。いずれにせよ、この映画がジブリ作品やハリポタ、スピルバーグ作品や踊る大捜査線を蹴散らして快進撃を続けているのは痛快だ。これだけヒットするのは、ふだん映画を観る人たちだけでなく、日頃は映画に行かない人たちがこの映画に足を運んでいるからに他ならない。なぜこの映画が、それだけ人を引き付けているのだろうか。この映画の何が、いつもは映画を観ない人たちの心に刺さっているのか。そんな分析を、誰かがやってくれることを期待したいと思う。

 物語は前半と後半に分かれている。前半は遠距離版の『転校生』(1982)だ。思春期の少年と少女の心と体が入れ替わり、そこで生じる様々なドタバタ騒ぎがユーモアたっぷりに綴られる。『転校生』は広島県尾道市のロケーションが生かされていたが、『君の名は。』でも三葉の暮らす飛騨の風景が丁寧に描写されている。『転校生』と違って主人公たちの間に地理的な距離があるというのがミソなのだが、この距離を縮めるためのツールがなぜ日記アプリなのかは謎。どうにも回りくどい。互いの電話番号は知っているのに、なぜ電話をしなかったんだろうか。物語後半はある事件によって歴史が変化していくという、タイムスリップものの展開になる。しかし主人公の記憶が失われていくくだりは、フィリップ・K・ディックの小説「地図にない町」的な世界かもしれない。この映画で一番ユニークで、映画のタイトルやテーマにも関わるのが、じつはこの記憶の消失なのだ。

109シネマズ名古屋(スクリーン3)にて
配給:東宝
2016年|1時間47分|日本|カラー|ビスタサイズ
公式HP: http://www.kiminona.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt5311514/

新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド
新海 誠
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