映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!

12月17日(土)公開予定 TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー

アニメと実写の違いを論じるメタフィクション映画

妖怪ウォッチ2016

 日本各地で全長300メートルを超える未確認飛行物体が目撃され、巨大なUFOの出現かと世間がウワサしはじめた頃、ケータの住むさくらニュータウンに異変が起きる。ケータやウィスパーの様子が、今までとまったく変わってしまったのだ。見た目も変化しているし、全体に立体感が増して、家の中も外も小さなデコボコがあったり、ツルツルしていたはずの手触りがザラザラゴツゴツしたりしている。自分の手をじっと見ると細かなシワがあるし、さらに目をこらすと皮膚の表面に小さな穴がポツポツとあるではないか。「それは毛穴ですね」と解説するウィスパー。一体なぜこんなものが! 不思議なことに、この異変に気づいているのはケータと妖怪たちだけだった。これはきっと妖怪のしわざだ。ケータは妖怪ウォッチをつかってコアラの姿をした新妖怪コアラニャン(ケータが命名)を発見。その鼻を押すと、いつもの世界と毛穴世界を行き来できることを突き止める。

 映画版「妖怪ウォッチ」の第3弾は、アニメと実写のハイブリッド作品。空とぶクジラが「ホゲー」と吠えるたびに、主人公たちのいる世界と登場キャラクターたちが2次元のアニメと3Dの実写(3D映画ではないけれど)の間を行ったり来たりするという趣向だ。なぜこんなことが起きるのかという理由付けは一応映画の中で描かれているのだが、この説明的なストーリーに僕はあまり感心しなかった。バレリーナを目指していた少女が交通事故でケガをして踊れなくなり、その恨み辛みがアニメ世界と実写世界(毛穴世界)を結びつけるというアイデアはよしとしよう。しかしこの少女がリハビリでまた元通り踊れるようになるというのは、「あきらめなければ夢はかなう」というお子様向けのハッピーエンドだと思う。夢をあきらめざるを得ない絶望的状況から、いかにして抜け出していくかの方が大切だと思うのだが、それは子供向けの映画にしては高度な要求なのだろうか?

 もっとも作り手にしてみれは、ストーリー自体に大きな意味はないのかもしれない。アニメと実写を往復するというアイデアと技術が先にあって、ストーリー部分はそれに合わせて作られた後付けの屁理屈みたいなものだろう。この映画のテーマは「絶望に陥った少女の再生」ではなく、「アニメが実写化されることで生まれる違和感」や「2Dのアニメと3Dアニメの本質的な差異」というメディア論の部分にあるのだ。この映画の中では実写パートが「毛穴世界」と呼ばれるのだが、これはなかなかのアイデアだった。実写パートは登場人物たちにとって「実写」ではない。なぜならケータたちが普段暮らしている2Dアニメの世界こそ、彼らにとっての「現実世界=実写」だからだ。この映画では実写パートを「毛穴世界」と呼ぶことで相対化し、毛穴世界も観客たちがいる「現実」ではないことを示している。現実ではないからこそ、クマが澤部佑(ハライチ)であり得るのだ。

109シネマズ名古屋(シアター4)にて
配給:東宝
2016年|1時間39分|日本|カラー|ビスタサイズ
公式HP: http://www.eiga-yokai.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt5477354/

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