ドント・ブリーズ

12月16日(金)公開 TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー

一人暮らしの盲目の老人はとんでもない化け物だった!

dont-breathe

 ロッキーは酒浸りの母親から逃れ、妹を連れて街を出るために金が必要だった。だがこの町で若い女がまとまった金を手にしようとすれば、他人から盗むしかない。彼女は友人2人と組んで空き巣を繰り返す。金はずいぶん貯まってきたが、まだもう少し足りない。次に大きな仕事をしたら、それで足を洗おう。彼女らが目をつけたのは、町の中でも治安の悪い過疎地区に住むイラク戦争の退役軍人だ。彼は少し前に事故で一人娘を亡くし、示談金としてかなりまとまった金を手に入れたらしい。少なく見積もっても、30万ドルは隠し持っているに違いない。加えて彼は、戦争で盲目になっている。彼の暮らしを守っている犬は薬で眠らせよう。警報器は仲間のアレックスが解除コードを入手している。今回の仕事は、赤子の手をひねるように簡単なはずだった……。だがロッキーたちは、男を見くびっていた。彼は深夜の侵入者に気づくと、容赦ない残酷な反撃を開始するのだった。

 盲目の中年男が、自分に危害を加えようとする無法者たち相手に大暴れ……と言えば、勝新太郎主演の「座頭市」シリーズだ。弱者であるはずの盲人が、五体満足なヤクザや侍をバタバタと斬り倒していくのは気持ちのいい見世物。だが座頭市を相手にしたヤクザの側に立ってみる、話は変わってくる。目の見えないはずが相手が周囲の気配だけを頼りにして、目にも留まらぬ居合い切りで一瞬にして何人何十人と仲間を斬るのだから化け物だ。この映画もそれは同じ。相手が盲人だとなめてかかった悪ガキどもが、返り討ちに遭っても自業自得。でもそれを悪ガキの側から見るならば、悪ガキには悪ガキなりに、そうしなければならない切実な理由がある。悪ガキたちは盲人を殺そうとまではしていないのに、反撃する側はあっさり殺すのだから過剰防衛もいいところだ。この男はなぜここまでムキになるのか? そのエグイ理由が明らかになる映画の後半には、ちょっと驚かされた。

 サスペンス映画の神様と呼ばれるヒッチコック監督は、映画の中で危機的状況に追い込まれるのがどれほどの悪人であっても、観客はそれを観て助かってほしいと願うと言っている。この映画に登場する若者たちは、金持ちの留守宅に上がり込んで金品を奪うこそ泥であり、定職に就くことより犯罪という安易な道を選ぶチンピラたちだ。彼等の暮らす劣悪な環境を知ったとしても、彼等のやっていることを擁護することはできない。だが彼等が危機的な状況に追い込まれると、観客はやはり彼等に感情移入し、助かることを願うのだ。この映画がすごいのは、ギリギリの状況に追い込んでも主人公たちを決して改心させないこと。家の主人の侵入者に対する敵愾心も強烈だが、家に侵入した若造たちの金への執着もまた凄まじい。もっとも金額が金額なので、どうしたって執着してしまうのかもしれないけれど……。アメリカでは大ヒットして、既に続編の製作も決まっているらしい。

(原題:Don’t Breathe)

TOHOシネマズ名古屋ベイシティ(スクリーン9)にて
配給:ソニー
2016年|1時間28分|アメリカ|カラー|シネマスコープ
公式HP: http://www.dont-breathe.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt4160708/

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中