MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間

12月23日(金・祝)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー

ドン・チードルが帝王マイルス・デイヴィスを熱演

MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間

 1979年。「帝王」の異名を持つジャズ界の巨人、マイルス・デイヴィスが活動を停止してから既に5年がたっていた。ローリングストーン誌の記者デイヴ・ブレーデンは、帝王復活の噂話を聞きつけて単身マイルスの自宅に押しかける。だが彼がそこで見たのは、乱雑に散らばった部屋の中で麻薬に溺れる男の姿だった。彼は麻薬を買う金欲しさにレコード会社に金の無心をしており、それが演奏活動再開の噂につながったのだ。何とかマイルスの懐に潜り込んだデイブは、隠遁中に彼が作成したレコーディングテープを見つけ、それを盗んでレコード会社に売りつけようと考える。だが彼が盗み出す前に、テープは大物プロデューサーに盗み出されてしまった。テープの紛失に気づいたマイルスは、デイヴを連れてテープを追跡する。麻薬と酒の影響で過去と現在が混濁する脳裏に思い浮かぶのは、10年以上前に別れた最初の妻、フランシス・テイラーとの出会いと別れだった。

 俳優のドン・チードルが、監督・共同脚本・製作・主演を務めたマイルス・デイヴィスの伝記映画。チードルがマイルスの特徴的なかすれ声も完全コピーして、カリスマ的な大物ジャズミュージシャンの姿を再現している。映画に画かれている出来事は、必ずしも歴史的な事実ではないようだが、それは伝記映画の常として受け入れるべきだろう。映画は盗まれた録音テープを追いかける1979年のマイルスと、彼がフランシス・テイラーと出会ってから別れるまでの過去の出来事が並行して描かれる構成になっている。史実ではマイルスとフランシスが出会ったのは1953年頃で、結婚が1960年。しかし64年には別居して、68年には正式に離婚している。映画はフランシスがマイルスのもとを逃げ出すようにして結婚生活が破綻するまでを描いているので、この時間軸はおよそ10年ぐらいを描いているらしい。それに対して、1979年の出来事はたった1日か2日だ。

 演奏シーンなどはよくできていて、ドン・チードルの役作りにかける熱意が感じられる。1950年代から1970年代まで、20年以上の年月をメイクやファッションなどで表現しているのも楽しい。だがこれが伝記映画として楽しいかというと、残念ながらさほど面白くもないのだ。主人公のマイルス・デイヴィス、記者のデイヴ・ブレーデン、妻のフランシス・テイラーが主要な登場人物だが、デイヴは架空の人物で物語の狂言回し。物語の中心になるのはマイルスとフランシスのラブストーリーだ。しかしこれが、どのように現在(1979年)の物語と関わっているのかがわからない。過去のマイルスの物語と現在のマイルスの物語は分裂し、絡まり合うことのないふたつの物語が最後まで平行線のままなのだ。マイルスはなぜ引退してしまったのか。なぜカムバックしたのか。それも映画からはまったくわからない。マイルスのファンが観ると、また別の感想があるのかな。

(原題:Miles Ahead)

ミッドランドスクエアシネマ(スクリーン3)にて
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2015年|1時間40分|アメリカ|カラー|シネマスコープ
公式HP: http://www.miles-ahead.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt0790770/

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