僕らのごはんは明日で待ってる

1月7日(土)公開 TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー

コクも歯ごたえもない薄味の青春ラブストーリー

僕らのごはんは明日で待ってる

 高校生3年生の葉山亮太は、いつも教室でたそがれている。中学生の時、たったひとりの兄が死んでからはずっとそうだ。クラスに友人はいない。読む本と言えば、人が死ぬ小説ばかり。暗い。暗すぎる。当然、クラスの中ではひとりだけ浮いている。いや、浮いているのではなく、ひとりだけ沈んでいるのだ。そんな亮太に、クラスメイトの上村小春が声をかけてきた。体育祭のリレー競技で、亮太と小春が米袋ジャンプのペアをやることになったのだ。体育祭に向けての練習をする中で、少しずつ打ち解けていく亮太と小春。ふたりの健闘もあって、みごとチームは勝利。小春は亮太に告白し、ふたりは付き合うことになった。大学は別々になったが、その後も順調に愛を育んでいくふたり。短大卒業後に小春は保育園の保母さんになり、翌年には亮太の就職も決まった。だがその直後、小春は突然亮太に別れを告げる。理由はまったくわからない。だが小春の決意は固かった……。

 瀬尾まいこの同名小説を、『箱入り息子の恋』(2013)の市井昌秀監督が映画化した青春ラブストーリー。主演は『ピンクとグレー』(2015)の中島裕翔と、『風のたより』(2015)や『インターン』(2016)の新木優子。高校時代に付き合い始めたカップルが、大学に進み、社会人になり、その間に紆余曲折があるという物語だ。お話自体は悪くないと思う。印象に残るエピソードもあれば、面白い場面もある。しかし全体的にあっさりと薄味で、映画を観終えた後も「映画を観たなぁ」というどっしりとした満足感が得られない。冷たいメシにぬるいお湯をかけたお茶漬けをサラサラ掻き込んでいるようなもので、生ぬるく、歯ごたえもなく、しっかりとした味わいもない。こうなってしまった理由は、いくつか考えられる。物語が主人公ふたりを中心に回り、状況をかき回す脇役が不在だったこと。節目になるエピソードが弱く、ドラマにメリハリがないことだ。

 例えばこの映画には、死んでしまった亮太の兄が回想シーンで登場するものの、亮太の両親は登場しない。亮太の家庭をきちんと描写すれば、小春のいびつな家庭環境との対比がより明確になったはずだ。友人の優介はもう少し活躍してもよかったし、亮太の新しい彼女になるえみりもより魅力的に描いてほしかった。正直言ってこの映画のえみりは、ウザくて重くて嫉妬深い面倒な女なのだ。これでは小春への気持ち云々がなくても、別れて当然という気持ちになってしまう。映画後半になると小春の隠していた秘密が明かされるなどして、物語にはようやくうねりが出てくる。でも映画としてはここに至る前に、観客が亮太と小春の交際をハラハラドキドキ、あるいはニコニコニヤニヤしながら見守れるようにしてほしいのだ。ここで観客を十分に楽しく幸せな気分にさせないと、交際の突然の中断によるショックや、終盤の大逆転からハッピーエンドに至るくだりの効果は半減だ。

109シネマズ名古屋(シアター6)にて
配給:アスミック・エース
2017年|1時間49分|日本|カラー|ビスタサイズ
公式HP: http://bokugoha.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt5259498/

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