モアナと伝説の海

3月10日(金)公開 全国ロードショー

いずれ舞台版が観られそうな本格ミュージカル

 遠い遠い昔の話。世界のあらゆる生命を生み出した女神テ・フィティの心が、神の釣り針を持つ英雄マウイに盗み出された。世界には闇が生まれ、マウイは火山の悪魔テ・カァと戦ってテ・フィティの心を海に落としてしまう。それから千年。島の族長の娘モアナは子供の頃から海に憧れていたが、海の恐ろしさを知る父は彼女が海に出ることを決して許さなかった。なぜ父は海を恐れるのだろうか。祖母タラは父の過去と、島に伝わる秘密をモアナに伝える。遠い昔、島の住民の祖先たちは、大船団を組んで広い海原を渡る海の民だった。島から島へと渡り、村を作り、また別の島へと渡っていく人々の血が、モアナの中にも流れている。だが世界に広がる闇は、モアナたちの島にも近づいている。島では魚が捕れず、ココナッツも病気で枯れていく。「世界をもとに戻すには、マウイと一緒にマウイテ・フィティの心を返しに行くしかない」。世界を救うモアナの旅がはじまる……。

 ディズニーの長編アニメーション映画で、太平洋の島々(ポリネシア)に伝わる神話がモチーフになっている。半身半人の英雄マウイは、ニュージーランドからハワイまで太平洋地域の広範囲で知られている有名キャラらしい。マウイは映画の中でも、ポリネシア系の特徴や文化を象徴するキャラクターになっている。屈強な体格、全身に施された刺青、そして戦いの前に自らを鼓舞するように踊るハカなどだ。しかしヒロインのモアナをめぐる物語は、いささか過保護にも見える父親の庇護下から抜け出して、自分自身の生き方を探し求める少女の姿を描く普遍的な成長物語。父親との確執があり、冒険があり、最期は父親と和解するというストーリーの枠組みは『リトル・マーメイド』(1989)と同じだ。しかし主人公の冒険の動機が恋愛ではなく、世界を救うための自発的な意志になっている点は21世紀のディズニー映画。人は自分の意志で、自分自身の人生を生きるのだ。

 映画の印象を一言で言えば「まるでミュージカルの舞台を観ているようだ!」ということになる。使用されている楽曲が多く、ほとんどの場面で登場キャラクターのテーマ曲が歌われる。主人公モアナのテーマ曲は、幾つかのバリエーションになって数回歌われている。最近のディズニーは、ヒットした長編アニメ映画をステージ・ミュージカルに翻案することが多い。その際、映画に使用された楽曲だけでは足りず何曲か新たに書き足すことがある(あるいはビデオ市場用に売り出した続編から曲を持ってくる)。だが今回の『モアナと伝説の海』については最初からしっかりと曲を作り込んで、舞台版がいつでも作れそうだ。この映画は間違いなく舞台化されるに違いない。もっとも「これは絶対に舞台化されるぞ!」と思った『ノートルダムの鐘』(1996)の舞台化には18年もかかっているわけで(2014年初演)、今回の映画も舞台化は10年以上先かもしれないけど。

(原題:Moana)

109シネマズ名古屋(シアター5)にて
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
2016年|1時間47分|アメリカ|カラー|2.35:1
公式HP: http://www.disney.co.jp/movie/moana.html
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3521164/

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