ラストコップ THE MOVIE

5月3日(水・祝)公開 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

毎度バカバカしい展開のままで完結編

 30年の眠りから覚めた昭和の熱血刑事・京極浩介と、相棒の草食系平成刑事・望月亮太。ルール無用の型破りな捜査で、周囲の批判にもかかわらず数々の成果を上げてきた京極たちだったが、犯罪捜査の世界にもハイテク化の波が押し寄せてくる。人工知能、AIの登場だ。人工知能研究者の西園寺が、横浜中央署に犯罪捜査のためのAIロボット「ブナッシー」を提供したのだ。既に起きた犯罪の捜査だけでなく、これから起きる犯罪まで事前に予知するブナッシーの登場に、時代の変化をひしひしと感じる京極。彼は最近になって自分の身体にある変化を感じ、それを周囲に必死で隠し通そうとしていた。じつは京極の身体は病魔に蝕まれており、医者からも余命宣告を受けていたのだ。だが事件はそんな中で起きる。西園寺の人工知能研究所から、助手の藤崎がAIの本体を盗み出してテロ組織に売り渡した。AIを使えば世界中を乗っ取り、どんなことも可能になってしまう。

 日本テレビと動画サイトHuluが共同製作したドラマ「ラストコップ」の劇場版完結編だ。刑事ドラマの劇場版と言えば大ヒットシリーズとなった『踊る大捜査線 THE MOVIE』や『相棒』があるが、この『ラストコップ THE MOVIE』はそれほど大げさなものではない。作っている側にも、「いよいよ劇場版を作るぞ!」という身構えたり盛り上がったりしたところはないのだろう。僕は動画配信サイト版を未見だが、映画は地上波でのドラマ放送と変わらぬノリであり、脚本にも絵作りにも「これは劇場版だぞ!」という気負いがない。映画ファンから観ればスカスカの画面にスカスカのストーリー展開なのだが、ドラマ版を見ていたファンにはこのユルユルの状態がむしろ心地よいのだろう。僕はドラマ版を他の作業の合間に「ながら視聴」していた程度だが、ドラマ版のキャストが映画版にも勢揃いし、和気あいあいとした同窓会ムードの作品になっている。

 映画が終わって劇場を出るとき、「あんなのあり得ない」とブツブツ文句を言う観客を見かけた。(言っておくが、この観客は決して僕ではない!)マンガ的に誇張されたキャラクターや、物理法則すら無視するアクションには、確かに面食らうに違いない。僕もドラマ版ではそれに驚いた。しかしこのマンガチックな展開や演出こそ、作り手がこの作品で目指しているものではないだろうか。昔の刑事ドラマ、京極が少年時代を過ごした昭和の刑事ドラマでは、刑事ドラマの中で現実を無視した荒唐無稽が平気で許されていた。それがより本物らしさを求めて進化した末に、刑事ドラマは考証にがんじがらめにされてしまったのだ。「ラストコップ」はそれをぶち破ろうとしている。最近は「マンガの実写映画化」が大流行だが、この映画はその逆で「実写によるマンガ」を目指しているのだと思う。荒唐無稽で結構。バカバカしくてどこが悪いのか。それこそがこの作品の持ち味だ。

ミッドランドスクエアシネマ(スクリーン3)にて
配給:松竹
2017年|1時間45分|日本|カラー
公式HP: http://lastcop-movie.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt6105934/

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