ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。

5月27日(土)公開予定 新宿シネマカリテ、ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場ほか順次全国公開

Facebookから生まれた本物のラブストーリー

 2011年3月。東日本大震災のニュースを見た台湾ではすぐさま義援金の受付が開始され、各種のSNSは日本へのお見舞いと応援のメッセージで埋め尽くされた。これから紹介する恋物語は、そんな台湾からの「日本加油!!(日本がんばれ!!)」というメッセージのひとつに、日本人の青年が「ありがとう台湾!!」というお礼のコメントを付けたことからはじまった。間もなくこのコメントに返事が届く。「日本の方ですか?」「はい。あなたは台湾人?」。台湾からメッセージを送ったのは、日本語学科で学んでいる台湾人の女の子リンちゃん。日本からお礼の返事を送ったのは、宇都宮で会社勤めをしている地味な青年モギサンだった。ふたりはそのまま、SNSでつながりあった友達同士になる。互いのことや、日常のことを、少しずつ語り合うふたり。ちょうど友人たちと旅行の計画を立てていたモギサンは、リンちゃんの提案で行き先を台湾に変更したのだが……。

 実在する国際結婚カップルをモデルにした、実話ベースのラブコメディ。この映画の特徴は、物語があまり盛り上がらないことだ。日本人と台湾人のカップルという特殊性はあっても、両家が犬猿の仲で主人公たちが偽装心中に追い込まれるわけでなし、乗り合わせた豪華客船が氷山にぶつかって沈没するわけでもない。大きな事件がほとんど起きず、物語は淡々と進行する。「恋愛には障害があった方が盛り上がる」というのは定説だし、「主人公たちには葛藤が必要だ」というのがドラマ作りのセオリーなのに、この映画にはそうしたものがほぼ存在しない。しかし映画のようにドラマチックに盛り上がる大恋愛や、身を切るような悲しい恋を、世の中のどれだけの人が経験しているのだろうか。ほとんどの人たちは、他人様に自慢できないレベルのささやかな恋を、静かに育んでいるはずなのだ。この映画はそんな普通の人たちの恋愛を、映画的にチャーミングに再現してみせる。

 映画の見どころは、モギサンを演じた中野祐太の表情だ。台詞にならない微妙な気持ちの揺れを、ちょっとした視線の変化や口元の動きで表現してみせる。これはリンちゃんを演じた簡嫚書(シェン・マンシュー)が喜怒哀楽をはっきり見せながら、怒鳴ったり叫んだり暴れたりするのとは対照的だ。モギサンとリンちゃんが初めて台湾の街角で出会った時、ふと見せるモギサンの表情やしぐさ。台湾観光を終えた夜の別れの時に、リンちゃんを呼び止めるモギサンのぎこちなく遠慮がちな言葉づかい。そうした何でもないけれどポイントとなる場面の全部に、このカップルの関係性が刻み込まれている。

 残念だったのは映画序盤の風景が、どうしても3月には見えなかったこと。半袖シャツで外を歩いている人もいれば、主人公は薄着で腹出して寝ていて、寝起きにはその格好のままベランダに出ている。大震災という実際の事件を折り込んでいるだけに、このあたりは気になった。

サンプルDVDにて
配給:朝日新聞、アティカス
2016年|1時間34分|日本|カラー|16:9|5.1ch
公式HP: http://mama-dame.com/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt5368552/

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