ちょっと今から仕事やめてくる

5月27日(土)公開予定 TOHOシネマズ日本橋ほかにて全国ロードショー

突然現れた「元同級生」の本当の正体は?

 青山隆は憂鬱だった。大学を卒業して1社だけ採用が決まったのは、上司のパワハラと理不尽な命令が横行する広告代理店の営業部だった。連日の深夜残業で体力を奪われ、上司の怒鳴り声に心を削り取られていく隆は、列車のホームから線路の方にフラフラと足が向かうのを止められない……。いままさにホームに転落する寸前、隆の身体をつかんで引き戻したのは、小学校時代の同級生と名乗る山本という大阪弁の男だった。だが隆には彼の記憶がまったくない。しかし強引に「懐かしいな〜。飲みに行こう!」と居酒屋に引っ張り込まれてしまった。こっそり小学校時代の同級生に電話してみると、確かに小学校3年生の時に転校して行った山本という同級生がいる。調子のいい山本に引っ張られるように、少しずつ明るさを取り戻していく隆。だが間もなく、小学校同級生の山本はまったく別人であることがわかる。ならば目の前にいる「元同級生の山本」は何者なのだろうか?

 北川恵海の同名ベストセラー小説を、『草原の椅子』(2013)や『ソロモンの偽証』(2015)の成島出が脚色・監督した作品。(脚本は『草原の椅子』でも組んだ多和田久美との連名。)主人公の青山隆を演じるのは工藤阿須加。謎めいた大阪弁男・山本役は福士蒼汰。他にもパワハラ部長役の吉田鋼太郎、先輩営業部員の黒木華など、要所を実力派のキャストが占めてバランスの取れたアンサンブルになっている。物語は現代版『素晴らしき哉、人生』(1946)みたいなものだ、生活に疲れ果てて自殺を考えた主人公の前に、ひとりの謎の男が現れる。この男のおかげで人生の真実に気づいた主人公は、それまでの生き方を改めて新しい人生への一歩を踏み出して行く。謎の男の正体は「天使」なのだが、この映画にもそれを観客にほのめかすシーンがちょっと挿入される。原作は未読だが、この映画は現代日本を舞台にした『素晴らしき哉、人生』がコンセプトなのだ。

 映画の最後に山本の正体が明らかにされるのだが、僕はこの場面は余計だと思った。あるいは見せ方に、もう少し別の工夫が必要だったのかもしれない。工藤阿須加と小池栄子が対面して座り、延々語り合うという動きのシーンになったのでは、それ以前の高揚感や躍動感がぶった切られてしまう。この「種明かし」に感動する人も多いらしいのだが、僕には退屈なシーンだ。語りを主体にするなら、それを何とかして「動き」の中で表現する方法を考えてほしかった。僕はこの映画のラストシーンから『ショーシャンクの空に』(1994)を連想したのだが、『ショーシャンク〜』はエピローグをちゃんと動きのある芝居の中で組み立てている。また本作は一通りの種明かしが終わったあと、エンディングまでがまた長い。山本が「最初はボランティアやで」と言って靑山と握手したところが、ギリギリ終了のタイミングだと思う。面白い映画だったのに、この終盤で台無しだった。

109シネマズ名古屋(シアター2)にて
配給:東宝
2017年|1時間54分|日本|カラー
公式HP: http://www.choi-yame.jp
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt5922578/

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中