フェリシーと夢のトウシューズ

2017年8月12日(土)公開 新宿ピカデリー他にて全国ロードショー

孤児院からパリ・オペラ座のバレリーナへ!

 1890年代のフランス。ブルターニュ地方の孤児院で育ったフェリシーは、ダンスが大好きな女の子。幼なじみのヴィクターと施設を脱走した彼女は、バレリーナになる夢を叶えるためパリ・オペラ座のバレエ学校に向かう。だが何のコネも資格もない彼女が、入学を許されるはずがない。行くあてのないフェリシーはオペラ座の掃除係オデットの仕事の手伝いをしはじめるが、雇用主のル・オー夫人はひどく意地悪で冷酷。バレエを習っている娘のカミーユも、母親譲りの傲慢で残忍な性格だった。そんなカミーユ宛にバレエ学校から届いた入学通知を偶然手に入れたフェリシーは、カミーユのふりをして憧れのバレエ学校に潜り込む。編入したメラントゥ先生のクラスは、間もなく上演される「くるみ割り人形」の出演者を選抜する真っ最中。まるで素人のフェリシーだったが、元バレリーナだったオデットの指導を受けながら、何とか落後せずレッスンに食らいついていく……。

 往年の名作少女マンガ「キャンディ・キャンディ」にも通じる、夢見がちなポジティブ少女の成長物語だ。「キャンディ〜」はその源流を、「小公女」や「秘密の花園」「あしながおじさん」「赤毛のアン」「少女パレアナ」などの少女向け児童文学に持っているのだが、これらの古典的名作はほとんどが19世紀末から20世紀初頭に書かれている。本作『フェリシーと夢のトウシューズ』の舞台が19世紀末のフランスになっているのも、そうした往年の児童文学へのリスペクトではないだろうか。20世紀初頭ではなく19世紀末にしたのは、建設中のエッフェル塔が「成長してゆく未完成な主人公」を象徴しているからかもしれない。あるいは20世紀が舞台になると、第一次大戦直前で話がきな臭くなるせいか……。もっともこの時代背景が映画の中で効果的に使われているかというと、必ずしもそうとは言えないような気もする。ベル・エポック時代のパリなんだけどなぁ。

 物語は今どき時代錯誤かと思わせるような、ど真ん中の速球ストレート勝負。ドラマとしてのひねりがあまりないまま、1時間半を一気に駆け抜けていくスピード感が清々しい。ヴィクターはもう少しキャラクターとして掘り下げたり膨らませる余地がありそうだし、フェリシーを口説くイケメンちゃら男の若手ダンサーもまだいじれそうなキャラ。しかしそうした脇道に逸れることなく、一直線にヒロインの成長ぶりだけを追いかける割り切りっぷりが良いのだ。(終盤のル・オー夫人のくだりは余計に思える。)今回は日本語吹替版を鑑賞したのだが、主人公フェリシーの声を土屋太鳳、オデットが黒木瞳、メラントゥ先生が熊川哲也、ル・オー夫人が夏木マリというキャスティング。夏木マリはともかく、他の3役は役柄のイメージに合わせた配役だろう。土屋太鳳はダンサーで、黒木瞳は元宝塚の娘役トップ、熊川哲也は世界的なバレエダンサーであり振付師・演出家でもある。

(原題:Ballerina)

109シネマズ名古屋(シアター2)にて
配給:キノフィルムズ、木下グループ
2016年|1時間29分|フランス、カナダ|カラー|1:2.35
公式HP: http://ballerina-movie.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt2261287/

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中