斉木楠雄のΨ難

10月21日(土)公開 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

SF好きにはたまらない脱力系ナンセンス爆笑コメディ

 高校1年生の斉木楠雄は、世界にもまれに見る正真正銘の超能力者である。テレバシー、サイコキネシス、透視、瞬間移動、心理操作、時間遡行など、どの能力においても人並みはずれた力を発揮する。しかし残念なことに、その能力は彼を必ずしも幸せにしていない。彼は自宅近くのPK学園高校に普通の高校生として通学し、周囲で起きるトラブルを人知れず解決しながら、目立たぬようにひっそりと暮らすことを好むのだ。そんな努力もあって、学校で彼の超能力を知る者は誰もいない。しかしどういうわけか、彼のことを慕って近づいてくる連中がいる。自称「相棒」の燃堂力、妄想の中で悪の秘密結社と戦っている海藤瞬、熱すぎてウザイ学級委員・灰呂杵志、元極悪ヤンキーの窪谷須亜蓮、そして「おっふ」を求めて斉木に付きまとう学校一の美少女・照橋心美。中でも照橋はやばい、デンジャラス。案の定、彼女のせいで世界は一色即発の危機に見舞われるのだった……。

 週刊少年ジャンプで連載中の人気マンガを、山崎賢人主演で実写映画化した学園SF風のコメディ映画。子供にせがまれて観に行ったのだが、これがじつに楽しかった。原作者の麻生周一は1985年生まれだが、この「学園SF」とういジャンルが、僕のような50代のオッサンには懐かしい。『なぞの転校生』『時をかける少女』『ねらわれた学園』など、かつて学園SFが花盛りだった時代があったからだ。超能力も『幻魔対戦』など往年のSF作品で繰り返し取り上げられたモチーフだが、その荒唐無稽さとご都合主義を、この映画は徹底的にコケにして笑いにしている。監督・脚本の福田雄一は1968年生まれでほぼ僕と同世代。さすがに、よくわかっていらっしゃる。主人公が周囲の人たちの奇行にいちいち心の中で突っ込みを入れながら物語が展開していくのだが、その主人公自身がじつは一番とんでもない、おそらく誰にも共感できないヤツになっているのがミソだ。

 この映画を一言で言い表すなら、「有名俳優を動員した本気のコスプレショー」ということになるのではないだろうか。明るいグリーンの制服やピンク色の髪など、二次元の映像からそのまま抜け出してきたようなビジュアルを実写で再現。出演者たちが観客の想像を超える「変顔」を見せる姿もマンガ的だが、特に橋本環奈の邪悪な笑顔と「あ〜り〜え〜る〜」という断言には何度も大笑いさせられた。「おっふ」が何なのかは結局よくわからないのだが、これはもう心の中で何十回も「おっふ」なのだ。映画を強引に引っ張っていくのは、今回の映画に関して言えばまず彼女であって、他の登場人物たちはそれに引き回されているだけだ。もっとも引き回されている連中も負けずに濃いキャラなので、あまりそうした弱味を感じさせない。この映画で少し弱かったのは、イリュージョニストの蝶野雨緑がらみの部分かもしれない。面白いので続編を期待だが、客の入りは微妙だった。

109シネマズ名古屋(シアター3)にて
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、アスミック・エース
2017年|1時間37分|日本|カラー
公式HP: http://saikikusuo-movie.jp/
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt4773438/

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