レディ・プレイヤー1

4月20日(金)公開 全国ロードショー

スピルバーグから映画ファンへのプレゼント

 西暦2045年。人口増加と資源の枯渇でスラム化した世界の中で、人々は「オアシス」というネットワークゲームの中で、現実離れした仮想現実の人生を楽しんでいた。だがある日、その世界が一変する。ゲーム開発者であり運営会社の筆頭株主でもあるジェームズ・ハリデーが亡くなり、遺産として、会社の経営権を譲り受けるための秘密の鍵をゲームの中に隠したのだ。世界中の人々が、一攫千金を夢見て鍵の争奪戦に参加する。17歳のウェイドも同じだ。鍵さえ手に入れば、今の貧しい暮らしから脱出できる。ウェイドのアバター名はパーシヴァル。彼はゲームの中で出会った信頼できる仲間たちと共に、最初の鍵を見つけることに成功する。パーシヴァルは一躍世界的な有名人になった! だがこれを心好く思わないのが、ゲーム世界の資産を独占しようとする巨大企業IOI社。IOIが鍵と「オアシス」の権利を独占するために、パーシヴァルと仲間たちは邪魔だった。

 スティーブン・スピルバーグ監督の新作は、ゲームの世界を舞台にしたアクション・アドベンチャー映画だ。矢継ぎ早に繰り広げられるアクションと、宝探しのミステリー、仲間との友情、最新テクノロジーと組織力で主人公の行く手を阻もうとする敵、そして美しく勝ち気なヒロインとのロマンス。舞台装置はまったく違うが、やっていることはインディ・ジョーンズ・シリーズと同じだ。映画はほとんどの場面にCGが使われているが、考えてみれば、『ジュラシック・パーク』(1993)で映画の世界に最初に本格的なCGを取り込んだのもスピルバーグだった。レースシーンにティラノサウルスも登場する本作は、これまでのスピルバーグ作品の集大成だと思う。80年代サブカルチャーからの引用満載の本作は、長年スピルバーグの映画を観てきた映画ファンに対する監督からのプレゼントなのだ。もっとも映画の中で一番面白かったのは『シャイニング』なのだが……。

 映像的には見どころ満載だし、細かな引用や仕掛けも楽しいのだが、ストーリー自体はわりと紋切り型だと思う。善人がいて、悪党がいて、主人公は最後に宝物を見つけ、ヒロインとも結ばれてめでたしめでたし。ゲームの世界は楽しく、ゲームで見つかる友達や友情は本物だけど、現実の世界も大事だからゲームはほどほどに。まるで道徳の教科書のように、何から何までが正しいのだ。だがこの映画を観ながら、不思議な気分になってくる。主人公たちは秘密の鍵を探すために、「オアシス」のクリエイターであるハリデーの心の中を探りはじめる。これはある種の批評行為なのだが、同じように、映画を観ている者もこの映画を作ったスピルバーグの心のうちを探らずにいられないだろう。「虚構の世界」に触れて成長して行く子供たちと、その子供たちに未来を託すハリデーは、おそらくどちらもスピルバーグの分身なのだ。作り手は消えても、作品はそれよりずっと長く残る。

(原題:Ready Player One)

109シネマズ名古屋(シアター7)にて
配給:ワーナー・ブラザース映画
2018年|2時間20分|アメリカ|カラー|2.39:1
公式HP: http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt1677720/

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