4月13日(金)公開 全国ロードショー
いちいち大げさに騒ぎすぎなんだよ……
東京サミット開催直前、会場に予定されていた東京湾の複合リゾート施設で爆発が起きる。一時はガス漏れによる事故と思われたが、現場から毛利小五郎の指紋が残され、毛利探偵事務所のパソコンからは施設のガス器具にアクセスした痕跡が発見された。小五郎は身に覚えのない事件の容疑者として逮捕されてしまう。事件はともかく、小五郎が関わったという話は公安によるでっち上げだ。コナンは公安捜査員である安室に詰め寄るが、安室はまるで非協力的な態度だ。また小五郎が有名人であることから、彼の弁護士になろうとする者は誰もいなかった。困り果てたコナンや蘭たち前に現れたのは、公安がらみの事件弁護で連戦連敗という女性弁護士の橘境子。はたしてコナンや蘭たちはこの頼りない弁護士と組んで、小五郎の無実を証明することができるのか? そして爆破事件の真相や、小五郎を罠にはめた公安の目的は何なのか? やがて意外な犯人の正体が明らかになる。
劇場版『名探偵コナン』の22作目。今回は公安警察の降谷零こと安室透が事実上の主役で、コナンや蘭などレギュラー陣が狂言回しになっている異色作。公安・警察・検察の力関係や駆け引きがモチーフになっているのだが、これはコナンたちからは距離が遠い。そこでこの映画は、毛利小五郎の逮捕という形で、この遠い問題にコナンたちを無理矢理に巻き込んでいく。とはいえこの逮捕劇、あまりにも無理筋過ぎて現実味が薄い。映画を観ていて小五郎が容疑者になり逮捕された瞬間から、「どうせ無実なのだからいずれ解放される」と観客が(少なくとも僕が)安心しきっているのだ。蘭が涙ぐもうと、英理が焦ろうと、この問題がなぜそれほど大問題なのかがさっぱりわからない。コナンも深刻ぶってはいるが、彼が一番苦労しているのは「新一に連絡しなくちゃ!」という蘭の電話に応対することではないのか。恋人に振り回されるコナンには同情するが、話はそれだけだ。
脚本がどのように書かれているのかはわからないが、おそらく今回は公安と安室の周辺からストーリーを組み立て、それをコナンたちの物語に結びつけたのだと思う。ところがこの接合部分が弱いのだ。映画を最後まで観ればわかるが、小五郎が逮捕された理由は、じつはこの逮捕劇を画策した者たちにとってどうでもよかったのだという。小五郎の担当になる橘弁護士は今回の映画のキーパーソンだが、彼女はただストーリーを引っかき回してミスリードするだけの役割に過ぎず、終盤に台詞で語られるバックグラウンドはご都合主義のニオイがぷんぷんしてしまう。こうした物語の弱さを補う意味もあるのか、アクションやスペクタクルシーンは派手で豪華だ。(スケールの大きなアクションは『劇場版コナン』のセールスポイントではあるが。)しかし今回はそのアクションも、「さすがにいくら何でもそれはない」というレベルのものになる。手に汗握る前に、これは白けるよ。
109シネマズ名古屋(シアター10)にて
配給:東宝
2018年|1時間50分|日本|カラー
公式HP: http://www.conan-movie.jp/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt7880466/
Being (2018-04-11)
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