万引き家族

6月8日(金)公開予定 TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

是枝裕和監督のカンヌ映画祭パルムドール受賞作

 路地の隙間から、東京スカイツリーが見える東京下町。高層マンションと昔ながらの小さな平屋が混在するこの地域に、柴田家の人々は肩寄せ合うようにして暮らしている。年金暮らしの祖母を中心に、小さな家に夫婦と息子、叔母が同居する暮らし。だがこの一家には、あまり大っぴらには言えない秘密の稼業がある。彼らは生活費の不足を、万引きで補っているのだ。ある冬の夜、近くのスーパーでその日の「仕事」を済ませた帰り道のこと。父の治と息子の祥太は、近くのアパートの廊下で一人震えている幼い女の子を見つける。「コロッケ食べるかい?」と声をかけた治は、結局その子を自分たちの家に連れて帰ってしまう。「ゆり」と名乗ったその少女には、体中に虐待のあとがあった。翌日女の子を元のアパートに連れ帰ろうとした夫婦は、部屋から聞こえてくる「子供なんて欲しくなかった」という怒鳴り声を聞いて、どうしてもゆりを帰すことができなくなってしまう。

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オール・ザット・ジャズ

5月25日(金)公開 午前十時の映画祭9

「死」をテーマにしたミュージカル映画

 演出家で振付師、さらに映画監督でもあるジョー・ギデオン。才能がひしめき合うブロードウェイで、誰しもが認めるナンバーワンの才能と実績の持ち主だ。現在は新しいショーの準備が始まったのに加え、映画の編集は大詰めに差し掛かっている。まったく気の休まる暇が無い多忙な日々。それでも彼は毎朝鏡に向かい、自分を鼓舞するように「ショータイムだよ、皆さん」と言ってから稽古場や編集室に出かける。(そして女遊びも欠かさない。)だがショーの準備が半ばに差し掛かった頃、長年の不摂生がたたってジョーは倒れてしまう。医者の診断は絶対安静。しかしジョーは見舞に来る友人たちを相手に、毎日のようにバカ騒ぎを続けるのだ。彼は自分が不死身だとでも思っているのだろうか? そうではない。彼は誰よりも自分の死を強く意識している。長年に渡り、死は彼にとって最良の友であり、同時に敵でもあった。彼は今、目の前に迫ってくる死に怯えているのだ。

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