ワンダー 君は太陽

6月15日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

子供の成長という大きな奇跡!

 オギー・プルマンは10歳の男の子。両親と姉の四人家族の中で、いたずらと『スター・ウォーズ』が大好きな少年へとすくすく成長した。でも彼がひとつだけ、他の子供と違っていることがある。オギーは遺伝性の病気で、顔が変形して生まれたのだ。赤ん坊の頃から何十回も手術を繰り返したが、顔の変形が完全に治ったわけではない。学校に通えないまま、ホームスクールで母親から授業を受けていた。しかし小学5年生の新学期から、オギーは生まれてはじめて学校に通うことになった。物珍しそうにオギーの顔をのぞき込む子供たち。子供は大人以上に残酷なのだ。でも悪いことばかりじゃない。オギーは優しい先生たちに見守られながら、初めて自分と同じ年頃の子供たちと触れ合う。仲の良い友達もできた。同じ頃、オギーの姉ヴィアも高校生の新学期を迎えている。子供の頃から手のかからない「良い子」として育った彼女にも、思春期の女の子としての悩みがあった。

 R・J・パラシオのベストセラー小説「ワンダー」を、『ウォールフラワー』(2012)のスティーブン・チョボスキーが脚色・監督したヒューマンドラマ。あらすじだけ見ると難病もののメロドラマのように思ってしまうが、主人公のオギーは病気と戦っているわけではない。彼が医学的な手当てを受けいてる場面は、映画の中に一度も出てこない。彼が戦っているのは外見に対する周囲の偏見であり、周囲の人の目を気にする心の中の「恐れ」や「不安」なのだ。物語を推進していくのは前者だが、この映画の中心テーマになっているのは後者。それは映画の中で物語の「語り手」が変化していく中で、どの登場人物たちもが自分の心の中の葛藤と戦っていることからも明らかだ。オギーの中にある葛藤は、友人のジャック、姉のヴィア、その親友ミランダなどの葛藤とリンクしている。そしてこの葛藤は、映画を観るあらゆる人が人生に一度は体験する「思春期の葛藤」なのだ。

 映画には多くの大人たちが登場するが、こうした「内面の葛藤」が掘り下げられているのは子供たちだけだ。しかしそれは、大人たちがおざなりに描かれているということではない。ジュリア・ロバーツが演じる母イザベルや、オーウェン・ウィルソン扮する父ネートなどの人物像も、じつに丁寧に描かれていると思う。ただしこの映画が、この両親の内面に深く分け入っていくことはない。彼らが最も葛藤を抱えた時期は、おそらく映画に描かれる時期よりずっと前に終わっていたからだ。それは子供が病気を持って生まれてきた時であり、子供に何十回も手術を受けさせていた時であり、子供のために自分のキャリアを諦めたときであり、子供をホームスクールから地域の小学校に編入させようと決めたときだったかも知れない。この映画はそれを直接は描かないのだが、そうした過去のあれこれを経て今があることを、ベテラン俳優たちが実に自然に感じさせてくれるのはさすが!

(原題:Wonder)

ミッドランドスクエアシネマ(スクリーン7)にて
配給:キノフィルムズ
2017年|1時間53分|アメリカ|カラー|2.39:1
公式HP: http://wonder-movie.jp/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt2543472/

ワンダー Wonder
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