アメリカ交響楽 ~ラプソディ・インブルー~

9月15日(土)公開 名演小劇場

ガーシュインゆかりの人々が本人役で出演

 20世紀初頭のブルックリン。貧しいが教育熱心なユダヤ系家庭に育ったジョージ・ガーシュインは、ピアノを習い始めるとめきめき腕を上げ、やがてボードビルや音楽出版社で演奏家の仕事をするようになった。ピアノ教師のフランク教授は教え子の演奏にポピュラー音楽のクセが付くことを心配するが、ジョージの夢は演奏家ではなく作曲家だった。その入口は、まずポピュラーソングだ。転機になったのは人気歌手のアル・ジョルスンが、ジョージの曲「スワニー」を気に入って舞台に取り上げたこと。この曲は大ヒットし、ジョージはたちまち人気作曲家に。初期には手ひどい失敗もあったが、「ジョージ・ホワイトのスキャンダル」を担当することで人気は不動のものとなる。1924年には初のクラシック曲「ラプソディ・イン・ブルー」が大成功。ジョージはクラシック音楽をより深く学ぶため、フランスに遊学することとなる。そこで彼を、運命の出会いが待っていた。

 『アメリカ交響楽』は作曲家ジョージ・ガーシュインの伝記映画で、ガーシュインが1937年に亡くなった8年後に公開されている。同時代に製作された「伝記映画」と同様、物語はモデルになった人物を美化する脚色だらけ。しかし生前のガーシュインと親交のあった人々が、本人役で次々登場するのが一番の見どころだ。「スワニー」を歌うアル・ジョルスン。「ジャズの王様」と呼ばれるバンドリーダーで、「ラプソディ・イン・ブルー」を初演したポール・ホワイトマン。人気レビュー「スキャンダル」の興行主ジョージ・ホワイト。ジョージの友人でピアニスト兼作曲家のオスカー・レヴァント。「ポーギーとベス」初演キャストのアン・ブラウン。「スキャンダル」のスターだったトム・パトリコラなどだ。他にもピアニストで歌手のヘイゼル・スコットが、パリの場面にゲスト出演している。他に出るべきなのに出ていないとすれば、フレッド・アステアぐらいだろう。

 僕はこの映画を劇場で過去に2回ぐらい見ている。最初は高校生の時に、古い映画をまとめてリバイバル公開する特集で観た。次はその数年後に、今はシネスイッチになっている銀座文化で観た。おそらくどちらも同じプリントだろう。今回観たのはデジタル映写だが、冒頭のワーナーロゴを切った著作権フリーの素材。日本語字幕は入っているが、コントラストも悪いし階調も乏しい。これはアメリカのワーナーから出ているDVDよりも、画質が悪いのではないだろうか。今回観て残念だったのは、唯一この点だ。それでもこの映画を、今でも劇場の大画面で観られるのは嬉しい。本作は別に名作名画というわけではないし、ミュージカル映画としても伝記映画としても、正直中途半端なものだと思う。でも僕のように「ガーシュイン大好き!」な人間には、唯一無二の貴重な作品なのだ。映画作品としての評価とは別に、今は大画面でアル・ジョルスンが観られたことを喜びたい。

(原題:Rhapsody in Blue)

名演小劇場にて
提供:T&Kテレフィルム
1945年|2時間21分|アメリカ|モノクロ|スタンダードサイズ
公式HP: http://www.tk-telefilm.co.jp/music/c_music.html
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0038026/

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