ボヘミアン・ラプソディ

11月9日(金)公開 TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

ライブの再現シーンはすごい迫力!

 インドからの難民家庭に育ったフレディは、ライブハウスで見かけたバンド「スマイル」に欠員が出たため、新しいシンガーとしてバンドに参加することになった。間もなくバンドは「クイーン」に改名。試行錯誤して作ったアルバムが注目されてバンドは徐々に売れ始め、4枚目のアルバム「オペラ座の夜」からは6分の大作「ボヘミアン・ラプソディ」がシングルカットて大ヒット! だがこの頃からフレディは自分の同性愛指向を意識するようになり、恋人メアリーとの関係は破綻してしまう。クイーンはさらにヒットを連発するが、バンド成功の裏側でフレディの孤独は深まり、生活は荒んで行くばかりだ。マネージャーであり愛人でもあったポールの斡旋で、フレディはクイーンを離れてソロ活動をはじめる。だがそれ結果として、フレディの孤独をより深めていく原因になってしまった。同じ頃、彼の身体を病魔が蝕みはじめる。それは当時不治の病とされたエイズだった。

 1970年代から90年代初頭に亡くなるまで、ロックバンド「クイーン」のボーカリストとして活躍したフレディ・マーキュリーの伝記映画。映画冒頭は1985年のチャリティ・イベント「ライブ・エイド」のステージに飛び出して行くフレディの姿から始まり、そこから回想シーンになって、終盤でライブシーンに戻ってくるマヅルカ形式だ。この映画については「事実と違うところが多すぎる」という音楽ファンの批判があるのだが、そもそも音楽家の伝記で「事実そのまま」に映画化した例などほとんどない。必ずどこかに脚色があるのだから、「事実と違う」は批判としては筋違いなのだ。しかし僕はこの映画の脚色をあまり買わない。主人公を悩み苦しませる葛藤の源泉を「生い立ち」と「セクシャリティ」に集約させてしまうのは、ミュージシャンの物語としてはどうなのだろう。フレディには芸術家としての悩みや苦しみもあったはずなのに、映画はそこを描かない。

 とはいえ音楽映画は、演奏シーンが良くできていれば他の欠点が全て帳消しにできてしまうものなのだ。本作はクイーンの主要な楽曲がバランスよく収められているし、オリジナル音源への口パクや振り付けも完璧で、その場で実際に歌われているような臨場感がある。クライマックスは「ライブ・エイド」のほぼ完全再現シーン。これは実際のステージの様子をYouTubeでも簡単に見られるが、映画館の大画面と大音響では迫力がまるで違う。映画が物語の冒頭をこのライブ直前で切り上げ、観客を散々待たせた挙げ句に満を持してこの場面につないだのは、このライブシーンをできるだけかっこよく、印象的に見せたいという目的のためだった。そのために、ファンが批判する「事実と違う」エピソードを、このライブの前にいろいろと散りばめることもしている。この映画のすべては、「ライブ・エイド」の再現シーンのためにあるのだ。ならば、他はどうでもいいだろう。

(原題:Bohemian Rhapsody)

ミッドランドスクエアシネマ(シアター1)にて
配給:20世紀フォックス
2018年|2時間14分|イギリス、アメリカ|カラー|2.39:1|Dolby Atmos
公式HP: http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt1727824/

Bohemian Rhapsody (The Original Soundtrack)
Virgin EMI (2018-10-19)
売り上げランキング: 1

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