パリの恋人

12月21日(金)公開 午前十時の映画祭9

オードリーがカワイイからゆるす!

 世界的ファッション誌「クオリティ」の編集長マギーは、次の目玉企画のためのモデルに、街の古書店で働く若い店員ジョーを大抜擢。専属カメラマンのディックが強く推薦したためだが、ファッションに興味のないジョー自身はあまり乗り気になれない。だが撮影地がバリと聞いて、彼女の気持ちが動いた。パリに行けば、憧れの哲学者フロストル教授に会えるかもしれないからだ。バリに渡ったマギーたちは、ファッションショーの新作発表とタイアップをすることを目指し、紙面を飾るファッション写真の撮影をはじめる。最初はギクシャクしていた3人の関係だが、ジョーとディックは撮影のため一緒に行動する中で互いに打ち解け、やがて愛し合うようになるのだった。しかしマスコミ向け発表の当日、憧れの哲学教授に会えたジョーは、焼き餅を焼くディックと大ゲンカ。せっかくの発表会もメチャクチャになってしまう。ホテルに戻ったジョーはそのまま消えてしまった。

 オードリー・ヘップバーンとフレッド・アステア主演のミュージカル映画。監督はスタンリー・ドーネン。ファッション誌の製作舞台裏がモチーフになっている作品で、アステアが演じたカメラマンのモデルは高名なファッション写真家のリチャード・アヴェドン。この映画のプロットは、彼と最初の妻の実話から着想されたのだという。アヴェドンはこの映画の製作に積極的に関わり、メインタイトルの写真なども彼の撮影。撮影中風景などもおそらく彼のアドバイスを受けているはずで、当時のファッション誌の撮影がうかがえる興味深い物になっている。ファッショッ誌とファッション業界が舞台になっているという点で、これは『プラダを着た悪魔』(2006)の先駆と言えるだろう。独裁者のように振る舞う女性編集長のモデルは、どちらもヴォーグ誌の実在の女性編集長だという。(それぞれ別の編集長がモデルのはずなのだが、キャラがかなり被っているのが面白い。)

 そんなわけで映画のディテールは面白いし、個々のミュージカルナンバーの中には見どころもある。しかし映画としてはどうも変な話で、何度観ても納得できないところが多い。当時50歳代後半だったアステアと、20代後半のヘップパーンでは釣り合いが取れないというのは、まあ映画的な嘘として譲歩できる。しかしそれより致命的なのは、主人公たちが恋に落ちる過程に説得力がまるでないことであり、彼らのケンカと仲違いにまったく共感できないのだ。カメラマンがもっとずっと若ければ、自分の恋心に急に気づいたり、自分より年上の高名な哲学者に恋人が惹かれることを不快感に感じるのもわかるんだけど……。なんだ。やっぱりこれは、アステアの年齢がダメなんだな。映画のキーになる古い教会裏でのラブシーンも、ここだけ紗がかかったような画質になって不自然この上ない。しかしこの映画、オードリー・ヘプバーンがやたらかわいいというだけで許せるのだ。

(原題:Funny Face)

ミッドランドスクエアシネマ(シアター7)にて
配給:東宝東和
1957年|1時間43分|アメリカ|カラー|ビスタサイズ|モノラル
公式HP: http://asa10.eiga.com/2018/cinema/818.html
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0050419/

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