七つの会議

2月1日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

会社を舞台にした犯罪ミステリー

 中堅の製造メーカーである東京建電で、常にトップの成績を上げ続ける営業1課。課長の坂戸は北川営業部長の右腕として、毎月の過酷なノルマをこなし続けている。だがそんな花の1課には、ぐうたら社員のハッカクこと八角民夫がいる。坂戸より10歳も年上の万年係長。会議では平気で昼寝。ノルマ未達も平気の平左。ひとり有休の消化にいそしむ給料泥棒だ。しかもハッカクは上司の坂戸をパワハラで訴え、坂戸は他部署に左遷されてしまった。その後釜として1課長になった原島は、ハッカクの周囲で不可解な発注変更や人事異動が起きている事に気づく。しかも部長や社長が、ぐうたら社員のハッカクを守っている。彼の周囲で何が起きているのだろう。まさか業者と癒着して、リベートを受け取っているのか? 原島は退社間近の女性社員・浜本と共に、ハッカクの行動を探りはじめる。だがそこから浮かび上がってきたのは、会社の存亡を揺るがす恐るべき秘密だった。

 池井戸潤の同名小説を、野村萬斎主演で映画化したミステリー作品。同じ原作はNHKでも一度連続ドラマ化しているが、その時は今回の映画で及川光博が演じた原島課長が主人公だった。今回の映画でも原島課長は狂言回しとして、あるいは物語の真相を探る探偵役として物語の案内役になるのだが、ドラマを引っ張っていくのは野村萬斎演じるぐうたら社員の八角だ。野村萬斎は今回が初のサラリーマンらしいが、最初から最後までまるでサラリーマンには見えない違和感がある。しかしこの違和感たっぷりのキャラクターが、個性が際立つ他の顔ぶれを上手くまとめるスパイスになった。サボっている社員は、どんな会社にも必ず何人かいるだろう。しかしそういう人は仕事をしているふりをしたり、目立たないように陰や隅っこでコソコソしているものだ。ところがこの映画の八角は、重要会議で居眠りして大いびき。誰にはばかることなく、堂々と、胸を張ってサボっている。

 八角がなぜこうも堂々とサボっていられるのかは謎だし、彼がクビにならないだけでなく、部長や社長など上層部からも擁護されているのはさらに不思議だ。いったい八角という男は何者なのか? この謎や不思議が物語を動かす強力なエンジンになっているので、八角の行動は嫌でも人目に付く、極端で目立ったものでなければならない。野村萬斎の極端な大芝居は、そのために必要なものなのだ。映画は後半になると、社内で本当は何が起きているのかという、もうひとつの謎にバトンタッチされていく。この合間に、ドーナツ販売の代金を誰がごまかしているのかという、小さな謎をはさむのは上手い。八角とは直接関係のないこのエピソードをきっかけにして、劇中の探偵役(原島と浜本)たちも観客も、八角を挙動不審な人物とは見なくなる。探偵映画としての脚本の面白さに加えて、豪華なキャスティング、優れた美術デザイン、音楽など、映画の魅力が凝縮された作品だ。

109シネマズ名古屋(シアター4)にて
配給:東宝
2019年|1時間59分|日本|カラー
公式HP: http://nanakai-movie.jp/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt9145478/

七つの会議 (集英社文庫)
池井戸 潤
集英社 (2016-02-19)
売り上げランキング: 64

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中