パルプ・フィクション

2月1日(金)公開 午前十時の映画祭9

1990年代生まれのカルトムービー

 殺し屋のヴィンセントは同じ組織のジュールスと一緒に、ボスに命じられた仕事を片づける。こんな仕事は、文字通り朝飯前だ。それよりヴィンセントが気になるのは、ボスに言いつけられているもうひとつの仕事のことだ。大した内容ではない。ボスの新妻ミアの外出に付き合い、彼女をエスコートすればいいのだ。だがほんの少し前、同じくミアの世話係を命じられた男がヘマをして、ボスから半殺しの目にあわされている。気が短く嫉妬深いボスを少しでも不快にさせれば、自分もただでは済まされない。だがミアは自由気ままに振る舞うじゃじゃ馬で、この夜の出来事はヴィンセントにとって忘れられないものになる……。同じ頃、中年ボクサーのブッチは、ギャングのボスから八百長試合を命じられていた。彼はこの申し出を受けながらボスを裏切り、負けるべき試合に勝ってノミ屋の賭けで大儲けする。ボスがこれを許すはずがない。彼は恋人と二人で逃げ出すのだが……。

 クエンティン・タランティーノの監督2作目にして、カンヌ映画祭のパルム・ドール受賞作。複数の登場人物のエピソードが交錯し、時系列をバラバラに配置してパズルのように組み合わせるというスタイルは、その後多くの映画に模倣された。ギラギラした男たちの欲望と、目を覆いたくなるような暴力描写、思わずニヤニヤしてしまう独特のユーモアのつづれ織り。多彩なスターが織りなすアンサンブルの妙は、映画が製作されて四半世紀たった今も魅力的だ。1990年代のインディーズ映画ブームを牽引したミラマックス社の代表作であり、タランティーノの出世作でもある。デビュー作の『レザボア・ドッグス』(1992)で一部の映画ファンに注目されていたタランティーノは、この作品で一気に売れっ子メジャー監督の地位を手に入れた。タランティーノは、この後も映画を撮り続けている。だがこの映画を越える衝撃を、映画ファンに与えるには至っていないと思う。

 今では古典的なカルトムービーになっている作品なので、映画の内容については今さら何か書き足すべきことはない。今観ると豪華スター総出演のような映画だが、当時紛れもない大スターだったのはブルース・ウィリスと、ワンシーン出演のクリストファー・ウォーケンぐらいだったことは記しておくべきだと思う。日本版ポスターで、ブルース・ウィリスの顔写真が大きくなっているのはそのためだ。タランティーノはこの映画で長期低迷中だったジョン・トラボルタを一線のスターに返り咲かせ、サミュエル・L・ジャクソンは俳優としての地位を確固たるものにした。ユマ・サーマンもこれ以前は「モデル出身の若い女優」でしかなかったと思うし、ヴィング・レイムスも本作があってこその『ミッション:インポッシブル』シリーズの活躍であるように思う。どの俳優も当時熱心な映画ファンならよく知る顔だったが、それを一気にメジャーにしたのがタランティーノだった。

(原題:Pulp Fiction)

ミッドランドスクエアシネマ(シアター7)にて
配給:東宝東和
1994年|2時間34分|アメリカ|カラー|2.39:1
公式HP: http://asa10.eiga.com/2018/cinema/819.html
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0110912/

パルプ・フィクション (字幕版)
(2016-11-01)
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