マスカレード・ホテル

1月18日(金)公開 全国ロードショー

楽しい映画だが新鮮味はゼロ

 都内で起きた3件の殺人事件。現場に残された謎めいた暗号から、警察は同一犯人による連続殺人事件と断定する。暗号は次の事件の現場が、都内の一流ホテル、コルテシア東京であることを示していた。凶行を未然に防いで犯人を逮捕するため、警察は大規模な潜入捜査チームを編成してホテルに乗り込む。捜査員たちがホテルマンになりきって、施設内を監視警備するのだ。捜査一課の刑事・新田浩介は、英語ができることからフロントクラークに配属された。その教育係としてコンビを組む山岸尚美は、刑事としてホテルの客全員に疑いの目を向ける新田に、ホテルマンとしての基礎と基本を叩き込まなければならない。次々やって来る一癖も二癖もある客たち。そこから垣間見える、それぞれの人間模様。はたしてその中に、犯人はいるのだろうか。新田はホテルで起きたある出来事をヒントにして、これまでに起きた連続殺人のひとつに隠されたトリックの秘密を突き止める。

 東野圭吾の同名小説を、木村拓哉主演で映画化したミステリー映画。ホテルを舞台にした作品で登場人物も多く、キャスティングも粒揃い。ただし主人公新田の元同僚役で小日向文世が出てくるのは、配役として賛否があるかもしれない。松たか子の登場も同じだが、これはどうしたって「HERO」(2001〜)を連想してしまう。監督の鈴木雅之が「HERO」のディレクターでもあるので、こうしたある意味では豪華なキャストが実現したのだろう。「HERO」が好きな人たちは、「お馴染みの顔ぶれ」が再結集して大喜びだろう。だが僕は、こうした配役によって物語の世界観が崩れてしまったと思う。小日向文世を出してもいいのだが、例えばホテルの総支配人役にするとか、もう少し主人公と距離のある場所に置けば問題はなかったはずなのだ。松たか子も同じで、別の使い方があったはず。この役を彼女が演じたことで、むしろこの役が小さくなってしまったと思う。

 楽しい映画だし、ヒットもしている。映画を観た後の、手応えや充実感もある。原作は続編があるから、シリーズ化してもいいだろう。僕もこの映画には満足だ。続編ができたら観てもいい。でもこの映画に、まっさらな状態で新作映画を観たときのときめきや高揚感はない。前記した配役の問題も含めて、いつかどこかで見たことがあるような、手慣れて使い回された中古品のような印象がしてならない。例えば映画の主な舞台になっているホテルのフロントやロビー周辺の風景には、現実のホテルのニオイがしない。撮影所のセットに組み込まれた、作り物にしか見えてこない。これは他のどんなホテルより、鈴木監督の前作『本能寺ホテル』(2017)に似ていたりするのだ。映画のテーマ曲として繰り返し流れるロシア風の重厚なワルツも、元ネタはショスタコーヴィチの「ジャズ組曲」かハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」だろう。悪くはないが、二番煎じ三番煎じなのだ。

109シネマズ名古屋(シアター4)にて
配給:東宝
2019年|2時間13分|日本|カラー
公式HP: http://masquerade-hotel.jp/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt7502322/

マスカレード・ホテル (集英社文庫)
東野 圭吾
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