JAWS / ジョーズ

4月19日(金)公開 午前十時の映画祭10

男たちは何と戦っていたのか?

 ニューイングランド地方のアミティ島は、風光明媚なリゾート地だ。だが6月のある日、島の海岸に若い女のむごたらしい遺体が打ち上げられる。島の警察に赴任して間もないブロディ署長は、遺体の様子から彼女がサメの犠牲者だと確信して海岸を閉鎖。だが観光重視の市長は風評被害を恐れ、これを単純な水死事故として処理してしまう。しかしその翌週、海水浴場で遊んでいた少年がサメの犠牲になった。人喰ザメの存在は明らかだ。少年の両親が懸賞金をかけたこともあり、間もなく1匹のサメが捕獲される。だが島を訪れた海洋学者のフーパーは、人を襲ったのはより大型のホウジロザメだと断言。騒ぎを沈静化させたい市長がこの警告を無視する中で、さらに新たな犠牲者が出る。ブロディは市長を説得してサメ漁専門の頑固漁師クイントを雇い、フーパーも合わせ3人でサメ退治のための船を出す。そこに現れたのは、体長8メートル近い巨大サイズのモンスターだった。

 1975年に公開されるや、世界中で大ヒットしたサスペンス・アクション映画だ。スティーヴン・スピルバーグ監督の初期代表作だが、本作を製作時、彼はまだ30歳にもなっていなかった。改めて今観ても、スピルバーグの早熟ぶりや天才ぶりがよくわかる。思い起こせばこの映画以降、世界中で似たような動物パニック映画が大流行。しかし本家『ジョーズ』は動物パニック要素だけでなく、サスペンス、アクション、アドベンチャー、ホラー、スリラー、ヒューマンドラマなど、複雑な要素が絡まり合う作品になのだ。2時間強の映画に、よくぞこれだけの要素を順序よくまとめ上げたものだ。主要な登場人物は、ブロディ署長、クイント船長、学者のフーパー、ボーン市長など。彼らにはそれぞれ、事ここに至るまでのバックグラウンドが用意されていて、それが人物像に豊かな陰影を生み出している。人物を語る小さなエピソードがそれぞれ、後半のドラマへの伏線になる。

 あらゆる古典的な名画がそうであるように、この映画も観る人の人生経験によって着目するところが異なってくると思う。僕が今回注目したのは、都会から地方に引っ越して仕事をしているブロディ署長と家族の味わう疎外感だ。ブロディは警察署長として市民たちからも一目置かれているが、どこかでよそ者扱いされているし、そのことを本人も自覚している。「島で生まれ育たなきゃ永久に島の人とは言えません」という海辺でのおしゃべりや、「家に帰るんだ」「ニューヨークへ?」という夫婦の短い会話に、署長の家族の立場が凝縮されている。サメ退治に出かけるのは、よそ者の署長と、部外者の海洋学者、島でも鼻つまみ者の漁師の3人組。船長と海洋学者が船の上で「海の男」として連帯していく中、署長もまた仲間としてクイントに認められるのは、彼もまた島の人達から見れば「厄介なよそ者」だったからだ。ならば彼らが戦うサメは、何を象徴しているのだろうか?

(原題:Jaws)

ミッドランドスクエアシネマ(シアター6)にて
配給:東宝東和
1975年|2時間4分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|モノラル
公式HP: http://asa10.eiga.com/2019/cinema/910.html
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0073195/

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