キングダム

4月19日(金)公開 全国ロードショー

熱すぎるドラマに観ている僕はドン引き

 紀元前3世紀の中国、秦の国。少年時代に奴隷として売られた信(しん)と漂(ひょう)は、己の腕一つで奴隷の身から脱するために日々剣術の稽古に励んでいた。ある日、偶然近くを通りかかった秦の大臣が、熱心に稽古をする二人の姿を見つける。それから間もなく、大臣は漂を買い取って都に連れて行った。これは都で企てられている王弟・成蟜(せいきょう)のクーデターに備え、若き王・嬴政(えいせい)と瓜二つの漂を影武者にするためだった。やがてクーデター勃発。深手を負った漂は、あるものを信に託して息を引き取る。それは密かに王宮を脱出し、援軍の救出を待つ秦王・嬴政の身柄だった。信は人里離れた小屋に身を潜めていた嬴政と合流すると、山の民の河了貂(かりょうてん)の手引で敵の囲みを抜け出すことに成功。嬴政は忠誠を誓う将軍たちとの合流に成功し、王都奪還のため、四百年前に交流が途絶えた山の民の王・楊端和(ようたんわ)と面会する。

 「週刊ヤングジャンプ」で連載中の同名人気漫画を、豪華キャストで実写化したアクション・アドベンチャー映画。秦王・嬴政というのは後の始皇帝で、原作は嬴政による大帝国建設を、信というひとりの若者の視点から描く歴史大河ドラマだ。映画はその序盤にある、嬴政と信の出会いのエピソードを取り上げている。原作は未読なのだが、映画は物語の骨組みがしっかりできていて面白い。登場するキャラクターもそれぞれの個性が際立っていて、服装、言葉づかい、それぞれの背景となるエピソード、喋り方まで、じつによく練られている。これらはおそらく、原作にかなりの部分を負っているのだろう。昔はこういう映画について、「中国が舞台なのに日本人の俳優が日本語で演じるのはおかしい」という変なリアリズムが幅をきかせていることもあった。しかしこの映画についてそうした声が聞こえないのは、原作が日本のコミックで、既にアニメにもなっているからだろう。

 物語自体は面白いのだが、僕はこの映画にちょっとノレなかった。最初から最後まで熱く語り、熱く戦い、熱く他者と接する主人公の信は、僕にとって苦手な人物なのだ。演じている山﨑賢人が悪いわけではない。たぶん原作でも信は同じぐらいの熱量を発しているのだろうが、それを実写でやられるとちょっとつらい。この熱さは、例えばバラエティ番組の中で松岡修造が見せる熱さに近い。でもその松岡修造だって、競技の解説やインタビューでは、元気120%の熱量を70%ぐらいにセーブしているはずだ。人間関係というのは、押したり引いたりのバランスだ。相手が熱く押し出してくれば、こちらはその分を引いて身構える。これは映画と観客の関係も同じ事。映画の中で主人公たちが熱く力みかえれば力みかえるほど、映画を観ているこちらは二歩も三歩も引き下がって、その様子を冷たい目で観てしまう。この映画は熱さが魅力。でもその熱さが空回りしていると思う。

109シネマズ名古屋(シアター3)にて
配給:東宝、ソニー
2019年|2時間14分|日本|カラー
公式HP: https://kingdom-the-movie.jp/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt9099938/

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