ゴッドファーザー

5月17日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

時代を経ても輝く「家族」の物語

 1945年。ニューヨーク郊外の大邸宅で、盛大な結婚パーティーが開かれている。イタリア系マフィアのゴッドファーザー、ヴィトー・コルレオーネの一人娘コニーが結婚したのだ。こうした晴れの場にも、裏社会でつながりがある強面の面々が集まり、合法・非合法を問わず、さまざまな「相談事」を持ち込む人々がいる。姉の結婚式のため、恋人と一緒に久しぶりに家に帰ってきたビィトーの三男マイケルは、そんな家族のビジネスに少し距離を置いている。大学を出て軍隊に入り、戦場の英雄となった彼は、家族の荒っぽくて血なまぐさい裏家業が嫌いなのだ。同じ年、麻薬ディーラーのソロッツォから取引を持ちかけられたヴィトーはこれを断り、その直後に殺し屋の襲撃を受ける。ソロッツォは話し合いにおとなしそうなマイケルを呼び出すが、家族を守るためにマイケルは会談の場でソロッツォを射殺。こうしてマイケルもまた、マフィア抗争の渦中に巻き込まれて行く。

 フランシス・コッポラ監督の出世作であり、この後のマフィア映画やギャング映画の歴史を一変させた作品だ。ヴィトーを演じたマーロン・ブランドは特殊メイクで本人の面影がほとんどなくなっているのだが、この映画のヒットで彼の生涯を代表する出演作になった。アル・パチーノ、ロバート・デュバル、ダイアン・キートン、ジョン・カザールなど、この映画で売れっ子になった(当時の)若手俳優たちも多い。凄惨な暴力描写には今でもギョッとすることも多いのだが、この映画が素晴らしいのは、そこに至る人間ドラマをきちんと描いている点だ。だからこそ、この映画は作られて半世紀近くたった今でも「歴史的な名作」であり得ている。それはこの映画が、「家族のドラマ」として普遍的な価値を持っているからだ。物語を動かしているのはビジネス上の損得勘定ではなく、家族の絆や愛憎関係。日本も昔は大家族だったから、こういう関係性はそこかしこで見られた。

 『ゴッドファーザー』は、血を分けた「家族」と、絆で結ばれた仕事上の「ファミリー」の葛藤の物語なのだ。ヴィトーや長男のソニーにとって、家族とファミリーは同じものだった。次男のフレドは自分がファミリーの仕事に向かないことを自覚しつつ、家族としてファミリーに加わる。コニーと結婚したカルロは、家族になったがファミリーにはなれない。三男のマイケルは、家族を愛しつつファミリーとは距離を置く。だが彼も父を助けて補佐することで、結局はファミリーの中に飲み込まれていくのだ。この時はじめて、父親の中でも「家族」と「ファミリー」が別のものだったことがわかる。マイケルをファミリーの仕事から遠ざけていたのは、息子を陽のあたる表の世界に出してやりたいというヴィトーの意思でもあったのだ。こうれがヴィトー退場後も、『ゴッドファーザー』シリーズを貫く大きなテーマになっていく。しかし本作の時点で誰がそれを意識しただろう。

(原題:The Godfather)

ミッドランドスクエアシネマ(スクリーン7)にて
配給:東宝東和
運営:「午前十時の映画祭」実行委員会
1972年|2時間55分|アメリカ|カラー|ビスタサイズ
公式HP: http://asa10.eiga.com/2019/cinema/906.html
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0068646/

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