ライオン・キング

8月9日(金)公開 全国ロードショー

最新CGでオリジナルアニメを完全コピー

 アフリカの広大なサバンナ。プライド・ランドの王であるライオンのムサファに息子が生まれ、シンバと名付けられる。王国の動物たちは誰もがこれを祝福するが、すくすくと成長して行くシンバを眺めながら、王の弟スカーは不満を膨らませていた。王の弟として次の王位継承を狙っていた彼は、王に正統な後継者が出来たことが気に食わないのだ。スカーは策略を使ってムサファを殺し、シンバを王国から追い出して、自分が国王の後釜に座る。だがハイエナを親衛隊にする新王スカーの統治は王国を疲弊させていった。一方王国を追放されたシンバは、イボイノシシのプンバァやミーアキャットのティモンに救われ、いつしか逞しい青年へと成長していた。そこにやって来たのが、助けを求めるためプライド・ランドを抜け出した幼なじみのナラだった。彼女はシンバに新王として王国に戻って欲しいと懇願するが、父ムサファの死に責任を感じているシンバは帰還を拒絶する。

 1994年の同名ディズニーアニメを、フルCGでリメイクした作品。「実写版」とか「超実写版」と呼ばれているが、全編CGだから、これはこれでアニメ作品だ。監督のジョン・ファブローは、『ジャングル・ブック』(2016)でもCGによるリアルな動物の姿を演出したことがある。『ジャングル・ブック』には人間の少年モーグリが登場するから、まだ「実写版」と言える部分も残っている。しかし『ライオン・キング』は、登場キャラクターも背景もおそらく全部CGに違いない。『ライオン・キング』は1997年に舞台ミュージカル化され、楽曲などが大幅に強化された。しかし今回の映画はオリジナルのアニメ版をなぞっていて、画面構成や演出なども多くの場面でアニメ版を踏襲。アニメ版でムサファを演じたジェームズ・アール・ジョーンズが、本作でも同じムサファの声を担当している。本作はオリジナル版を手本にした、CG仕立ての完全コピーなのだ。

 オリジナルのアニメ版『ライオン・キング』は、登場人物が歌う曲が少ないという点でミュージカルとしては物足りない作品だ。「サークル・オブ・ライフ」はオープニングの主題歌で、シンバとナラの掛け合いである「愛を感じて」も、ふたりの心情を説明するためにオーバーラップで流されるだけなのだ。舞台版はこの欠点を補うように、ムサファが息子に語りかける「君の心の中に」や、生き延びたシンバが自身の葛藤を歌う「終わりなき夜」など印象的な曲が追加された。だが今回のCGリメイク版はオリジナルアニメが下敷きなので、こうした追加曲は存在せず、「ミュージカルとしては物足りない作品」に先祖返りしてしまった。これが今回の映画で一番もったいない点だ。それぞれのキャラクターを特徴づけたデザインも写実的なCGでは特徴が薄まり、雌ライオンはほとんど区別が付かないし、ハイエナたちも誰が誰やらわからない。CGで失ったものも多いようだ。

(原題:The Lion King)

109シネマズ名古屋(シアター7)にて
配給:ウォルト・ディズニー
2019年|1時間59分|アメリカ|カラー
公式HP: https://www.disney.co.jp/movie/lionking2019.html
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt6105098/

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