ロケットマン

8月23日(金)公開 TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー

エルトン・ジョンの伝記ミュージカル映画

 ド派手なステージ衣装のまま、依存症の治療施設に駆け込んできた男。世界的なロックスター、エルトン・ジョンだ。アルコールや合法・違法のさまざまな薬物、さらにはセックス、過食、買い物など、ありとあらゆる依存症になっていることを告白した彼は、そこに至ったこれまでの生涯について語り始める。本名はレジナルド・ドワイト。両親の愛に恵まれない、寂しく孤独な少年時代だった。彼のピアノの才能を見抜いて、王立音楽院への進学を後押ししてくれたのは祖母だけ。レジーは学校でも神童ぶりを発揮するが、やがてロックに出会って友人たちとバンドを組む。そこで新しい自分にふさわしい名前として選んだのが、エルトン・ジョンという新しい名だった。レコード会社の募集広告に応募した彼は、そこでバーニー・トーピンという作詞家に出会ってコンビを組む。コンビが生み出した最初の大ヒット作が「僕の歌は君の歌」。初のアメリカツアーも大成功だった。

 エルトン・ジョンの伝記ミュージカル。監督は『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)のデクスター・フレッチャー監督だが、同じロック歌手の伝記ミュージカル映画でも、『ボヘミアン〜』と『ロケットマン』はだいぶ様子が違う。『ボヘミアン〜』は、音楽家の伝記映画としてはオーソドックスなバックステージ・ミュージカルだった。楽曲が作られる舞台裏を紹介し、主人公がステージやスタジオで歌う場面で曲が流れる。登場人物たちは歌うべくして歌うから、そこにミュージカル映画特有の荒唐無稽な世界はない。音楽家が主人公のミュージカルはこの形式を取りやすく、最近の映画だと『アリー/スター誕生』(2018)ももちろんこのスタイル。一方『ロケットマン』はジュークボックス・ミュージカルで、主人公や登場人物たちの状況や心情を、既存の楽曲に託して歌わせる。フレッチャー監督の作品なら『サンシャイン/歌声が響く街』(2013)と同じだ。

 『ロケットマン』もロック歌手の伝記映画である以上、曲作りやステージ場面などにバックステージもののスタイルを取っている場面もある。だが映画として楽しいのは、物語序盤で主人公と家族たちが歌う「I Want Love」や、少年だった主人公が青年になる場面の「土曜の夜は僕の生きがい」、どん底の主人公が歌う「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード 」などだ。映画『ロケットマン』の特徴は、伝記ミュージカル映画のセオリーとして楽曲を主人公の生涯のしかるべき位置に結びつける作業と、ジュークボックス形式で楽曲を自由に引用する手法を両建てにしていることだろう。これに違和感を持つ人もいるようだ。ポピュラー音楽はその曲が発表されたその時々の世相や、その曲を聴いていた人たちの人生と深く結びついている。だから「この曲はこの時代のものじゃない!」と感じることもあるに違いない。でも僕はこの折衷形式が本作の強みだと思う。

(原題:Rocketman)

ミッドランドスクエアシネマ2(シアター10)にて
配給:東和ピクチャーズ
2019年|2時間1分|イギリス、アメリカ|カラー|2.39 : 1
公式HP: https://rocketman.jp/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt2066051/

ロケットマン (オリジナル・サウンドトラック)
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