スティング

10月18日(金)公開 午前十時の映画祭10 FINAL

詐欺師映画の古典であり最高傑作

 1936年、イリノイ州ジョリエット。昔ながらのすり替え詐欺で小金を稼いでいるルーサーとフッカーの詐欺師コンビは、かすめ取った封筒の中に思わぬ大金が入っていて驚いた。それは大物ギャング、ロネガンの賭場の売上金だ。ロネガンは見せしめのためルーサーを殺し、フッカーにも追っ手を放つ。辛くも逃げ出したフッカーはルーサーの詐欺師仲間ゴンドーフに会うためシカゴに向かい、そこでロネガンに報復するための計画を練り始める。ゴンドーフが声をかければ、昔の詐欺師仲間が集まってくる。情報屋曰く、「ロネガンは一か八かの博奕はせず、勝てるとわかる堅実な勝負しかしない。ポーカーをやっても最後はイカサマで必ず勝つ!」。ならば引っかける方法はある。コンドーフはロネガンのポーカー勝負にまぎれ込むと、ロネガン以上のイカサマ手口で見事に相手から大金をせしめた。だがその直後、フッカーは「あれはイカサマです」とロネガンに密告する……。

 ジョージ・ロイ・ヒル監督にとっては、同じポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが主演した『明日に向って撃て!』(1969)の二番煎じみたいな企画だったのだろうが、今ではこちらの方が評価が高くなっている作品だろう。詐欺師を主役にした映画は少なくないが、この映画はその中でもズバ抜けた人気を誇っている。有名な映画だし、見せ場はトリックやどんでん返しの数々だから、一度観てしまうと次からは最初の感動が二度と味わえないのは残念。僕もテレビ放送などで含めて何度か観ている映画なので、まっさらな気持ちで気持ちよく作り手に騙されることはできなかった。しかしそれでも、この映画は二度三度と繰り返し観ても面白い。手品師が巧妙なトリックの種明かしをしているように、この段取りが次にこうつながるという筋道がくっきりと見えて感心してしまうのだ。ポール・ニューマンのカード捌きなど、地味だがあっと驚かされる見せ場も多い。

 映画に登場する詐欺のテクニックは、デヴィッド・W・モラーの実録本「詐欺師入門―騙しの天才たち その華麗なる手口」がベースになっている。こうしたネタにフッカーとゴンドーフなどのキャラクターを配し、ひとつの物語にまとめ上げたデヴィッド・S・ウォードの脚本は見事。音楽のマーヴィン・ハムリッシュはスコット・ジョプリンの音楽を劇中あちこちに散りばめ、衣装のイーディス・ヘッドは不況時代に精一杯のオシャレを決める伊達男や女たちを着飾らせて、時代遅れの大物詐欺師たちが持ち前の技術で大物ギャングの鼻を明かす物語をあざやかに彩ってみせる。この映画は詐欺師が大物ギャングをカモにする手練手管を見せる映画だが、この映画を繰り返し観ると、映画の作り手がいかなる手練手管で観客を引っ張り回しているかがよくわかるはずだ。本物の詐欺師にはだまされたくないが、こんな映画には何度でも騙されたい。映画に騙されるのは気分がいいのだ。

(原題:The Sting)

ミッドランドスクエアシネマ2(シアター12)にて
配給:東宝東和
1973年|2時間9分|アメリカ|カラー|1.85 : 1|モノラル
公式HP: http://asa10.eiga.com/2019/cinema/911.html
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0070735/

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