ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト

9月27日(金)公開予定 丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー

レオーネが描くフロンティアの消滅

 19世紀末のアメリカ西部。乗降客もいない砂漠の中の小さな鉄道駅に、ハモニカを手にしたひとりの男が降り立つ。彼は待ち伏せする3人の男たちをあっという間に撃ち倒すと、宿敵フランクを探して町を目指す。同じ頃、砂漠地帯で暮らすマクベイン一家の人たちは、ニューオリンズから新しい花嫁を迎えるための準備を進めていた。しかしそこに現れた殺し屋たちが、一家を皆殺しにして立ち去る。花嫁ジルを出迎えたのは幼い子供も含めた一家4人の死体だった。なぜ彼らは殺されなければならなかったのか。ジルは家族のいない家に留まって、その理由を探し始める。そこにやって来たのは、賞金首のお尋ね者シャイアンだ。彼は一家殺しの容疑者として逃亡中だったが、自分がこの件については潔白であることを伝えて立ち去る。一家を殺したのは、鉄道王のモートンに雇われたフランクと彼の手下たちだった。こうしてジルの周囲には、ならず者のガンマンが集まってくる。

 マカロニ・ウェスタンの巨匠、セルジオ・レオーネ監督の大作西部劇。謎の男ハモニカ役にチャールズ・ブロンソン、強盗のシャイアンを演じるのはジェイソン・ロバーズ、ヒロインのジルはイタリアの女優クラウディア・カルディナーレ。そして子供さえ手にかける冷酷非情な悪役フランクを、多くの映画でヒーローを演じてきたヘンリー・フォンダが演じている。悪役が魅力的であればこそ、他の登場人物たちも映える。シェイクスピアからMCUまで一貫しているこの黄金律に、この映画も忠実に従っているのだ。レオーネは黒澤明の『用心棒』(1961)をパクった『荒野の用心棒』(1964)で世界に売り出した監督だが、本作の悪役フランクは『用心棒』の続編『椿三十郎』(1962)で仲代達矢が演じた室戸半兵衛を連想させる。彼らは自分の雇い主に従っているように見せながら、虎視眈々と裏切りの爪を研ぐ狡猾な悪党だ。最後の決闘も『椿三十郎』にそっくり!

 ハモニカ、シャイアン、フランクという男たち3人の関係は、レオーネのヒット作『続・夕陽のガンマン』(1966)を踏襲しているように見える。名無しのガンマン、茶目っ気のある強盗、そして殺し屋だ。新しい要素は荒野の町に嫁いできた元高級娼婦のヒロイン。3人の男たちが町から町へと流れて行く放浪者であるのに対して、ヒロインのジルは流れ者の暮らしを捨てて、ひとつの場所に根を下ろそうとしている人間。そしてこれは、映画の背景にあるアメリカの歴史を映し出してもいる。映画の舞台は19世紀末の西部。広大な荒野を西へ西へと延びていく鉄道が、間もなく太平洋に達しようとしている時代だ。同じ頃、アメリカは「フロンティアの消滅」を宣言して、西部開拓時代は終わりを告げている。古い西部を生きてきた男たちには、もう生きていく場所がないのだ。ひとり残されたハモニカが、行く場所もないままウロウロするラストシーンがそれを象徴している。

(原題:C’era una volta il West)

センチュリーシネマ(劇場2)にて 
配給:アーク・フィルムズ、boid、インターフィルム  
1968年|2時間45分|イタリア、アメリカ|カラー|スコープサイズ|5.1ch  
公式HP: http://onceinthewest2019.com/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0064116/

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