ドクター・スリープ

11月29日(金)公開 全国ロードショー

こうして物語は受け継がれていく

 ダン(ダニー)・トランスはアル中の中年男だ。父親もアル中だったが、彼が5歳のときに山間部のリゾートホテルで冬季管理人の仕事を引き受け、孤立した環境の中で精神を病んで死んだ。だがダンは知っている。父ジャックは、ホテルに巣食っていた悪霊に取り憑かれたのだ。ダンは子供の頃から「シャイニング」と呼ばれる不思議な力を持っており、悪霊たちはその力を自分たち側に引き込むため、父を使って彼を殺そうとした。父の手を逃れたダンだったが、悪霊は彼につきまとい続ける。ダンは自分を守る黒人の霊に指導され、悪霊たちを一人ずつ自分の頭のなかにある箱の中に閉じ込める。悪霊は去ったが、安らぎは訪れない。彼はアルコールまみれの生活を立て直すため、ニューハンプシャー州の小さな町に転居してホスピスで仕事を始める。ようやく手に入れた安らかな生活。しかし彼はそこで、アメリカ各地で起きる少年少女誘拐殺人事件に巻き込まれていくのだった。

 1980年にスタンリー・キューブリックが監督したホラー映画『シャイニング』の続編。原作者のスティーブン・キングは映画『シャイニング』を嫌って、1997年に自身がプロデュースする別のTVシリーズを制作している。だが今回の映画はその原作者版「シャイニング」ではなく、明確にキューブリック版の続編として作られている。回想シーンなどで再現されるのは「1980年のオーバールックホテル」であり、映像は細部まで1980年の映画を忠実に再現している。映画のオープニングで流れる「怒りの日」や、映画のエンディングで流れる「真夜中、星々と君と」もキューブリック版『シャイニング』からの引用だ。同じ映画はスピルバーグの『レディ・プレイヤー1』でも引用されているので、どうやら今でもカルト的な人気を持つ作品になっているらしい。中学生の頃にリアルタイムで『シャイニング』を観た僕としては、本作は間違いなく大満足の続編なのだ。

 本作は『シャイニング』の続編だが、『デッドゾーン』(1983)や『炎の少女チャーリー』(1984)など、キング原作の超能力バトル映画のムードも漂わせている。ローズ・ザ・ハットが率いる「トゥルーノット」と名乗るメンバーは、『死霊伝説』(1979)に登場する吸血鬼にも似た現代のモンスター。あるいはキング原作を離れるなら、彼らは『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1987)に登場する吸血鬼集団に近いかもしれない。『ドクター・スリープ』は子供をさらって殺すトゥルーノットたちと、強いサイキック能力を持つアブラ・ストーンの戦いが物語の中心で、ダニー・トランスはアブラを補佐するサブキャラクター。こうしてダニーを脇に配することで、『シャイニング』で描かれていた黒人能力者ハロランとダニーの師弟関係が、ダニーとアブラの関係に継承されて行く世代交代のドラマになった。世代を超えた力の継承で、人は永遠を手に入れるのだ。

(原題:Doctor Sleep)

109シネマズ名古屋(シアター10)にて
配給:ワーナー・ブラザース映画
2019年|2時間32分|アメリカ、イギリス|カラー|1.78 : 1
公式HP:
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt5606664/

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