ウエスト・サイド物語

11月29日(金)公開 午前十時の映画祭10FINAL

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 ニューヨーク、ウエスト・サイド。ポーランド系アメリカ人の不良グループ「ジェット団」のメンバーは、最近になって衝突が絶えないプエルトリコ系の不良グループ「シャーク団」にいら立っていた。ジェット団のリーダーであるリフは、相手との決闘で決着を付けることに決める。そうなれば、ジェット団の創設メンバーであり、リフにとっての親友、兄貴分でもあるトニーに加勢を頼みたい。リフはトニーを説き伏せて、その晩決闘を申し込むパーティ会場にだけは来てくれるよう約束を取り付けた。だが約束通り会場に現れたトニーは、その場にいた一人の少女に恋をする。それはシャーク団のリーダー、ベルナルドの妹マリアだった。マリアも一目でトニーに心引かれ、ふたりはその後、翌日の再開を約束して別れた。そして翌日、ジェット団とシャーク団がその夜決闘すると知ったマリアは、トニーにそれを止めてくれるよう頼む。これが大きな悲劇につながるとも知らずに。

 来年はスピルバーグによるリメイク版の公開も控えている、古典的な傑作ミュージカル舞台の最初の映画化作品。原作舞台の初演は1957年。映画版はその4年後に作られたわけだが、曲順や演出が舞台と映画ではだいぶ違うことでも知られている。しかしこれは舞台の改編とも言いきれない。映画は舞台版で演出と振り付けを担当したジェローム・ロビンスが共同監督を務め、音楽のバーンスタイン、作詞のスティーヴン・ソンドハイムも再結集している。同じ料理人が同じ料理を作っても、状況に合わせて味付けや盛り付けにはアレンジを加えるはずだ。舞台版と映画版の「ウエスト・サイド物語」は、そうした関係にあるのだと思う。そして現在世界中で多くの人が思い浮かべる「ウエスト・サイド物語」は、多くの場合この映画版だろう。もともとは舞台の映画化だった作品だが、今は映画を観た人が同じ感動を味わうために舞台版に足を運ぶ。両者の関係は逆転しているのだ。

 映画は今から60年近く昔の作品だが、描かれている人種対立の問題などは現代に通じる普遍性がある。原作舞台はもともとトニーがシチリア系、マリアはユダヤ系で考えられていたそうだが、当時の時代背景からポーランド系とプエルトリコ系に変更されたのだという。この物語の中における「人種」というのは、時代によっていかようにでも読み変え可能な記号なのだ。現在のアメリカで考えるなら、トニーを黒人に、マリアをイスラム系にしたっていい。差別される者が、さらなる社会的弱者を差別し敵対し合うという重層的な差別構造は、今でも世界のあちこちに存在するからだ。ポーランド系とプエルトリコ系の対立が現実社会からなくなったとしても、それと同じ対立は必ず別の場所で引き起こされている。こうした対立がある限り、『ウエスト・サイド物語』は決して古くならないのだ。スピルバーグが同じ物語を、新作の中でどう解釈し直しているかを見るのが楽しみだ。

(原題:West Side Story)

ミッドランドスクエアシネマ2(スクリーン12)にて 
運営:「午前十時の映画祭」実行委員会 
1961年|2時間32分|アメリカ|カラー|2.20 : 1 
公式HP: http://asa10.eiga.com/2019/cinema/904.html 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0055614/

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