キャッツ

1月24日(金)公開 全国ロードショー

CGの猫人間が歌って踊る

 ロンドンの片隅にあるゴミ捨て場に、一匹の子猫が捨てられる。袋から飛び出してきた子猫の名前はヴィクトリア。野良猫ジェリクルキャッツに迎えられた彼女は、その夜が猫たちにとって特別なものであることを知らされる。長老猫オールド・デュトロノミーを招いたジェリクル舞踏会で、最も優れたパフォーマンスを披露した一匹の猫が選ばれる。その猫は天上に運ばれ、新たな命を得る権利を得るのだ。長老猫の前で、次々に披露される歌と踊り。誰もが自分が選ばれようと必死だ。だがそんな猫たちを尻目に、不正な手段で天上に運ばれる権利を得ようとする者もいる。お尋ね者のマキャヴィティは、有力な猫を一匹ずつさらって候補から蹴落としていく。そして最後に狙いを付けたのは、長老猫のオールド・デュトロノミーだ。一方新入り子猫のヴィクトリアは、舞踏会に入れず街頭でさまよう年老いた元娼婦猫グリザベラを見つけると、彼女のつぶやくような歌に耳を傾ける。

 1981年に初演されて世界中で大ヒットしたアンドリュー・ロイド・ウェバーの同名ミュージカルを、『レ・ミゼラブル』(2012)のトム・フーパー監督が映画化した作品。1980年代はロイド・ウェバーの黄金時代で、ロンドンやニューヨークの劇場街では『キャッツ』の他にも、『エビータ』(1978初演)、『スターライト・エクスプレス』(1984初演)、『オペラ座の怪人』(1986初演)などの作品が連日大入り満員の盛況だった。日本でもこの時期の作品のほとんどが来日上演されたり、劇団四季によって翻訳上演されている。『キャッツ』や『オペラ座の怪人』は、これ以前の『ジーザス・クライスト・スーパースター』(1971初演)と共に、今では古典と言っていい演目になっていると思う。『キャッツ』の映画化は長年噂されていたのだが、1990年代にスピルバーグによる長編アニメ化企画が頓挫してからは長年放置され忘れられかけていた。

 今回『キャッツ』が無事映画化されたのは、とりあえずはめでたい話だと思う。だがこれがいい映画かというと、正直かなり微妙なのだ。CGで作られたキャラクターに俳優の顔をはめ込んでいるのだが、これが猫に見えるはずもなく、と言って人間が生身の肉体で演じる生き生きとした演技や踊りの熱量は生み出せていない。人間が猫のメイクをして舞台の上でとんぼを切れば、それは紛れもなく猫に見える。人間の想像力とはそういうものだ。でもCGの猫人間がスクリーンの中でとんぼを切って、それが何なのだろうか? これは企画の出発点から、何かボタンの掛け違いがあったように思えてならない。これは当初のスピルバーグと同じように、あるいは『私に近い6人の他人』(1993)でウィル・スミスが語っていたように、完全なアニメ作品にした方が良かったのではないだろうか。サウンドトラックは悪くないので、ここから完全アニメ版を作ってくれないかなぁ……。

(原題:Cats)

伏美ミリオン座(劇場3)にて 
配給:東宝東和 
2019年|1時間49分|イギリス、アメリカ|カラー 
公式HP: https://cats-movie.jp/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt5697572/

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