エキストロ

3月13日(金)公開 新宿シネマカリテほか

詰まっているのは映画への愛

 つくばみらい市にある「ワープステーション江戸」は、江戸時代から昭和期の街並みを再現した大型の屋外施設だ。連日多くの映画やドラマが撮影されているが、ここには施設内での撮影に市民バランティアを派遣するNPO団体ラークがある。山本耕史主演の時代劇ドラマ「江戸の爪」にエキストラとして参加している萩野谷幸三さんも、ラークから派遣されているエキストラのひとりだ。歯科技工士として男手ひとりで息子を育て、その息子も歯科技工士になった。幸三さんは息子に仕事場を譲ってセミリタイアし、比較的自由になった時間を使って、せっせと撮影現場に通っているのだ。高齢エキストラに時折あることなのだが、幸三さんも変にこだわりが強かったり、カメラが回り始めると不用意に小芝居をして、撮影現場を止めてしまうことがある。「江戸の爪」の現場でも、幸三さんは何度かカメラを止めさせたあげく、途中で腹が痛くなって現場から離脱してしまった……。

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義士始末記

1962年9月9日(日)公開 全国松竹系

忠臣蔵のエピローグ的番外編

 元禄15年12月14日。元赤穂藩士四十六人は本所吉良屋敷に討入り、吉良上野介の首級を上げて主君浅野内匠頭の仇討ちを果たした。この事件の報を受けて、江戸市民は拍手喝采。江戸城には助命嘆願のため庶民が押し寄せた。こうした人々の中に、討入りメンバーである間新六の異母姉おかつと、同じく中村勘助の恋人おしまの姿もある。特におかつは、討入り前に最後の別れに訪れた弟を、そうと知らずに冷たく追い払った負い目がある。何とか罰を受けずに、命を助けて欲しい。彼女が頼るのは、かつて隣家で私塾を開いていた儒学者荻生徂徠だ。大儒学者でありながらそんな素振りも見せず、気さくに人々と語り合える徂徠なら、きっと庶民の気持ちを代弁して赤穂義士のために助命の先頭に立ってくれるに違いない。おかつはそう考える。だが江戸城内では圧倒的多数の助命派の中で、ひとり徂徠だけが四十六士の切腹を主張していた。そのことに、おかつは衝撃を受ける。

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仮名手本忠臣蔵

1962年9月9日(日)公開 全国松竹系

赤穂義士は過激思想のテロリストだった

 元禄14年3月14日。江戸城松の廊下で、赤穂藩主浅野内匠頭が高家筆頭吉良上野介に斬りかかった。逆上する内匠頭を取り押さえるものがあり、上野介は九死に一生を得る。内匠頭は即日切腹。だがこの一大事のさなか、内匠頭の近習早野勘平は恋人おかると逢い引き中でその場に居合わせることができなかった。一方藩主の刃傷切腹により、赤穂藩は断絶。国を預かる城代家老の大石内蔵助は、幕府による片手落ちの裁定に憤る家臣たちに殉死を誓う。だがその心の中には、主君の本懐を遂げるために上野介を討ち果たすという復讐の決意があった。だがそれから数ヶ月後、内蔵助は京都の遊里で茶屋遊びにふけっていた。赤穂浪人たちの復讐を恐れる吉良方は警戒をゆるめず、内蔵助たちの身辺を疑い深く探っている。それを偽るための偽りの放蕩なのだ。江戸に先着している同志たちからは、次々に吉良方の情報が伝えられてくる。討ち入りの日は、もう目の前に近づいていた。

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