AKIRA [IMAX]

4月3日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

1980年代日本アニメの到達点と限界

 1988年。東京で新型爆弾が炸裂し、都心部は壊滅した。それから31年。東京湾を埋め立てた新首都・ネオ東京は、空前の繁栄を謳歌している。だがそこにあるのは、反政府運動の街頭デモとテロ行為、それを暴力的に鎮圧しようとするアーミー、行き場を失った若者たちのバイクによる暴走だった。そんな暴走族グループを率いる金田は、弟分の鉄雄が事故を起こして軍の施設に収容されたことに衝撃を受ける。一度は施設を抜け出した鉄雄だったが、彼は金田たちの目の前で再び軍の施設に収容されてしまった。金田は鉄雄を救出するため、反政府テログループのメンバーであるケイたちと軍の施設に潜入するが、強大な力を目覚めさせた鉄雄は自力で施設を脱出。身に着けた能力で自我を肥大させ尊大に振る舞うようになった鉄雄は、かつての仲間だった山形を惨殺。強烈な頭痛とともに頭の中で響く「アキラ」という声の正体を求め、今は廃墟となっている旧市街へと向かう。

 大友克洋が原作・脚本・監督を担当した、長編SFアニメーション。僕は公開時に劇場で観ているのだが、それ以降は見向きもしなかったので、じつに32年ぶりの鑑賞になる。世評的にはこの時代を代表する大作アニメーションとして評価が高い作品であるにも関わらず、なぜ劇場鑑賞後に見向きもしなくなったのか。それは僕の求めているものか、この映画になかったからだ。1980年代の初頭、マンガの世界における大友克洋の活動はショッキングだった。「気分はもう戦争」や「童夢」の登場は事件であって、緻密な描線と大胆な構図の絵は、多くの模倣を生み出した。戦後マンガ史の中で、マンガの神様・手塚治虫の登場に次ぐ広範な影響力を生み出したのは、たぶんこの時代の大友克洋だけだろう。角川のアニメ映画『幻魔大戦』(1983)は、平井和正の原作人気と同じぐらい、当時人気絶頂だった大友克洋のデザインしたキャラクターが動くことで大ヒットしたのだ。

 しかし『幻魔大戦』は、大友克洋のファンにとって不満の多い映画だった。当時のアニメに多いことだが、アニメーターがデザイン通りのキャラクターを描けないのだ。だからこそ、当時の大友作品のファンやアニメファンの『AKIRA』に対する期待は大きかった。今度こそ、大友克洋の絵がきちんと動いてくれると思ったのだ。映画『AKIRA』の中には、確かに期待に応えている部分もあると思う。だがほとんどは『幻魔大戦』と大差の無い仕上がりだ。劇中のアクションシーンも、大友克洋の原作が持つ迫力に遠く及ばない。『AKIRA』は1980年代日本アニメの可能性を広げ、アニメの表現力を一段も二段もレベルアップさせた。目指すところは映画的なリアリティだ。しかし同時に『AKIRA』は、1980年代日本アニメが持つ表現の限界を示すことにもなった。『AKIRA』に再アニメ化の企画が持ち上がっているのは、決して不思議なことではないのだ。

109シネマズ名古屋(シアター7)にて 
配給:東宝 
1988年|2時間6分|日本|カラー|1.85 : 1 
公式HP: https://v-storage.bnarts.jp/sp-site/akira/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt0094625/

AKIRA 4Kリマスターセット (4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc) (特装限定版)
大友克洋(監督)
バンダイナムコアーツ (2020-04-24T00:00:01Z)
5つ星のうち4.5
¥8,809

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