イップ・マン 完結

7月3日(金)公開 新宿武蔵野館ほか全国順次公開

ドニー・イェン主演の人気シリーズ完結!

 1964年の香港。詠春拳の達人として多くの弟子たちを育てた葉問(イップ・マン)は、医師から悪性腫瘍の診断を受ける。武術の達人も病気には勝てない。今の彼にとって唯一の心残りは、高校生の息子が学校に馴染めず喧嘩騒ぎばかり起こし、ついには退学になってしまったことだ。「息子さんには海外の学校の方が合うかもしれません」と言われた葉問は、アメリカで道場を開いて成功している弟子・小龍(シウロン/英名ブルース・リー)の招きに応じて米国を訪れる。だがロサンゼルスの中国人拳法家たちの中で、小龍は問題児扱いされていた。彼が広く道場の門戸を開き、中国伝統の武術をアメリカ人にも教えていたからだ。息子をアメリカに留学させるには、現地での身元引受人となる中華総会の紹介状が必要だ。だが総会の代表ワンは、小龍をかばう葉問に紹介状を渡そうとしない。手詰まりの中、葉問は学校でクラスメイトからいじめを受けているワンの娘を助ける。

 ドニー・イェンが実在した武術家・葉問(イップ・マン)を演じる人気シリーズの第4弾で完結編。人気シリーズなので今後もシリーズが継続しないとは言いきれないが、続編はもう無理だろう。何しろ映画の最後に主人公は亡くなり、その葬儀がラストシーンになっているのだから。映画はそれが作られた時代のさまざまな社会意識を反映するものだが、今回の映画のテーマはずばり「中国 vs アメリカ」だ。物語の舞台は1960年代のアメリカで、当時のアメリカでは公民権運動が花盛りだった。しかし映画は誰もが知るこの問題をきれいにスルーしてしまう。そのかわりにアメリカ社会の人種差別と戦っているのは、アメリカの繁栄に大きく寄与してきた中国人たちだ。アメリカのアジア系移民としては日系人の存在も大きいが、映画はこれもきれいさっぱり無視する。日系人は軍の正式採用格闘技である「空手」を通じて、既に米国社会に受け入れられたことになっている。

 映画から政治性ばかりを読み取るのはつまらない。しかしこの映画には、昨今問題になっている米中対立が投影されているようにしか見えない。「アメリカは根拠なしに、中国の伝統や優れた技術を排除しようとしている。一足先にアメリカ進出した日本製品はすっかり社会に溶け込んでいるのに、後からアメリカに進出した中国製品は不当にアメリカ政府に排除されている!」というのがこの映画の主張だろう。空手は日本製品のメタファーであり、中国拳法は中国製品のメタファーだ。中国人たちが対立する相手がアメリカの軍人であることは、軍人がアメリカという国家を背負った公務員だからだ。映画の中で葉問たちは、アメリカ政府の不当な圧力や暴力と戦っている。アメリカ社会に溶け込もうと努力し、そこで一定の地位を築くブルース・リーのような生き方もあっていいだろう。だが我らの葉問は、中国に戻って中国人として生きることを選ぶ。何とも愛国的な映画なのだ。

(原題:葉問4)

センチュリーシネマ(劇場1)にて 
配給:GAGA+ 
2019年|1時間45分|香港|カラー|2.35 : 1 
公式HP: https://gaga.ne.jp/ipman4/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt2076298/

イップ・マン 序章&葉問 Blu-rayツインパック
ドニー・イェン(出演), サモ・ハン・キンポー(出演), ホァン・シャオミン(出演), サイモン・ヤム(出演), 池内博之(出演), ウィルソン・イップ(監督)
Happinet(SB)(D) (2011-06-02T00:00:01Z)
5つ星のうち4.4
¥9,106 (中古品)

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