私をくいとめて

2020年12月18日(金)公開 テアトル新宿ほか全国ロードショー

地味カップルの恋愛のリアル

 黒田みつ子、31歳。都内の会社に勤めるOLで、独身一人暮らし。平日は会社でじっと我慢の子を貫いているが、土日は積極的に外出して「おひとり様」の生活を満喫中だ。恋人はもう何年もいないが、今はそれも含めて楽しんでいる。寂しさは少しも感じない。彼女にはパートナーの「A」がいるからだ。Aはみつ子にだけ聞こえる優しい声。それは彼女の分身。心の声。内なる理想の男性像。みつ子の呼び出しに即座に応え、際限の無い愚痴に優しく相槌を打ち、彼女の行動を励まし、的確にアドバイスしてくれる頼もしい相棒だ。だがそんなみつ子の前に、ちょっと気になる男性が現れた。取引先の営業マンで、2歳年下の多田くんだ。たまたま近所同士ということで親しくなり、今はみつ子の作った夕飯のおかずを、彼が時々取りに来るような間柄になっている。だがそれきり、それ以上の進展はまだない。「きっと彼もあなたに好意を持っていますよ」とAは言うのだが……。

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罪の声

2020年10月30日(金) 全国ロードショー

あの有名事件の記憶がよみがえる

 亡くなった父のあとを継いで、小さなテーラーを経営している曽根俊也は、自宅の天袋奥から古い手帳とカセットテープを見つける。手帳には英語でびっしりと文字が書かれ、カセットテープには幼い頃の自分の声が吹き込まれていた。だがそれは、かつて世間を騒がせた劇場型企業恐喝「ギンガ萬堂事件」の脅迫テープ原盤だった。なぜこれが自分の家にあるのか。事件と自分はどう関わっているのか。手帳の持ち主は、かつて家に出入りしていた伯父だ。曽根は自分と家族の過去を探るため、今は行方不明になっている伯父の過去を探り始める。同じ頃、大日新聞大阪本社の文化部記者・阿久津英士が、同じ「ギン萬事件」の真相を探り始める。先輩記者の取材メモをもとに情報の洗い直しをしていた阿久津は、ついに犯人グループが利用していた小料理屋を突き止めた。そのしばらく後、京都にある曽根のテーラーに阿久津が現れる。事件調査はそこから大きく動き出すのだが……。

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映画 えんとつ町のプペル

2020年12月25日(金)公開 全国ロードショー

新鮮味と驚きに欠ける良質アニメ

 そこは「えんとつ町」と呼ばれていた。町のあちこちにそびえる高い煙突が、絶え間なく黒い煙を吐き出しているからだ。煙は小さな空を覆いつくしている。そんな町の底にあるゴミ捨て場に、光輝くひとつの心臓が落ちてきた。心臓は周囲のゴミを引き付けて、やがて人間の姿になって歩き出す。ゴミ人間が町に出ると、そこはハロウィンの祭りの真っ最中。ゴミ人間もハロウィンの仮装と思われて大喝采を浴びるが、やがて人間でないことがわかると人々に追われるようになる。行き場を失ったゴミ人間が出会ったのは、えんとつ掃除の少年ルビッチ。少年はゴミ人間にプペルという名を付けて家に招き入れる。ルビッチには父がいない。父は黒い雲の向こう側にある「星」についての紙芝居を残し、ある日姿を消してしまった。あの雲の向こうに、星はあるんだろうか? だがそれは、町では決して口外できない禁断の問い。町の支配者たちはプペルとルビッチを捕らえようとする。

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