TENET テネット

TENET テネット
2020年9月18日(金)公開 全国ロードショー

理解不能だが面白い!

 キエフのオペラハウスでテロ事件が起こり、治安部隊に紛れ込んでいたアメリカ人の男がロシア当局に逮捕される。男は激しい拷問にも決して口を割らず、最後は自決用のカプセルを噛み砕く……。だがそれは、ある秘密組織が男に課した厳格な選抜テストだった。男はそれに合格したのだ。男は組織の秘密施設に案内され、「エントロピーを減少させる銃弾」を見せられる。壁に撃ち込まれた弾頭は時間を遡行して銃の中に戻り、テーブルの上にこぼれた弾丸は上にかざした手のひらの中へと吸い込まれていく。この技術を使えば、過去を変えることができる。このテクノロジーの根幹である「アルゴリズム」の秘密を探るため、男はインドのムンバイに飛ぶ。秘密を知る武器商人の妻プリヤの情報から、ロシア人武器商人セイターの存在を知った男は、セイターの妻キャサリンに接触。彼女を味方に引き込むには、オスロ空港の保管庫にあるゴヤの贋作画を奪い取らねばならなかった。

 コロナ禍で映画館が厳戒体制下にある昨年秋冬の映画興行界で、洋画としては断トツのヒット作となったクリストファー・ノーランの新作SF映画。話題になっていたが昨年は映画館で観ることができず、今回IMAXで再上映されるというので観に行った。正直言って、物語はさっぱりわからない。だが面白くてつい最後まで画面に引き込まれてしまう。画面の情報量や密度がとんでもなく濃いのだ。映画は一種のタイムトラベルSFのようでもあり、それとはまったく別のアイデアを映像化しているようでもある不思議な世界。時間が逆行していくというアイデアは、フィリップ・K・ディックの小説「逆回りの世界」(1967)を連想したりもする。しかしこの映画に一番近いのは、アラン・レネの『去年マリエンバートで』(1961)ではないだろうか。『TENET』も『去年マリエンバート』も、初見では内容が理解しがたい映画作品だが、観る者を引き付けて放さない。

 たぶん二度三度観れば、内容は理解できると思う。それは『去年マリエンバートで』でも同じだ。だが僕は本作も『マリンエバート』も、繰り返し観ようという積極的な気持ちが起きない。それは「わからない」ということも含めて、この映画は完結していると思うからだ。「そんなの自分が理解できないことの言い訳だ」と批判されそうだが、そもそも僕は、同じ映画を何度も繰り返し観るということが滅多にない。面白ければそれっきり、つまらなければそれっきり。それも映画じゃないか。『TENET』は観ながら寝ていたわけではない。ちゃんと起きて観ていた。でもわからないんだから、これはそういう映画として受け入れるしかない。「わからないけれど、なんだかめちゃくちゃ面白かった」というのがこの映画の印象で、こんなことは長く映画を観ていても滅多にない経験なのだ。『マリエンバート』以外だと、例えば『コヤニスカッツィ』(1982)などと同類かな。

(原題:Tenet)

109シネマズ名古屋(シアター7)にて 
配給:ワーナー・ブラザース映画 
2020年|2時間30分|イギリス、アメリカ|カラー 
公式HP: https://wwws.warnerbros.co.jp/tenetmovie/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt6723592/

TENET テネット ブルーレイ&DVDセット (3枚組/ボーナス・ディスク付) [Blu-ray]
ジョン・デイビッド・ワシントン(出演), ロバート・パティンソン(出演), エリザベス・デビッキ(出演), ケネス・ブラナー(出演), クリストファー・ノーラン(監督)
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2021-01-08T00:00:01Z)
5つ星のうち4.3
¥4,198 (中古品)

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