らいか ろりん すとん -IDOL AUDiTiON-

1月15日(金)公開 テアトル新宿ほか全国順次公開

コロナ禍で行われたアイドルオーディション

 2020年3月。関東近郊の某所で、音楽事務所WACKの合宿オーディション「WACK合同オーディション2020」がスタートした。事前に書類審査などで選ばれた参加者は18名。オーディションの様子はニコ生で動画配信され、多くの視聴者たちの前で毎日何名かずつが脱落して行くサバイバルマッチになっている。オーディション参加者は個人情報を守るため全員仮名。今回この中で注目されていたのは、前年のオーディションで無念の初日リタイアとなったワキワキワッキーの再挑戦。そして、インポッシブル・マイカという候補生だった。オーディションから数日で、参加していた候補生の半数が脱落。その後は毎日数名ずつが脱落して行く中で、このふたりは終盤まで戦列に残り続ける。同じ頃、実力者や個性派がそろうオーディション会場には、自分の殻を破れずもがく候補生トト・パーティン・トトがいた。特殊な環境の重圧で、彼女の表情は固くこわばっていく。

 昨年3月に実施された、「WACK合同オーディション2020」の記録映画。このオーディションは毎年映画化されていて、2019年のオーディションは『IDOL-あゝ無情-無情-』、2018年のオーディションは『世界でいちばん悲しいオーディション』、2017年が『The Documentary of WACK オーディション~オーケストラ物語~』といった作品になっているようだ。残念ながら僕はどれも観ていないのだが……。1本しか観ていないとしても、この映画の熱量はなかなかすごいものだった。正直言うと、オーディションの様子は「圧迫面接」や「パワハラ」に近い部分もあると思う。ただこのオーディションは、何も様子を知らない人をこの場に連れてきているわけではない。過去のオーディションの様子は配信や映画などの形で公表されていて、応募者たちはそれを承知で参加しているのだ。映画を観る際は、その点で注意が必要だろう。

 映画は最初から、オーディションに最後まで残るワキワキワッキーとインポッシブル・マイカのふたりを軸に構成されている。実際の取材過程がどのようなものだったのかはわからないが、映画を観ている限りは、このふたりが最後まで勝ち残っていくことは最初から予想できる。映画がそこにトト・パーティン・トトのエピソードを入れたのは、オーディション会場で実力を出し切れないまま落後していく候補生の代表としてだろう。彼女の文字通り汗と涙にまみれた奮闘と、悲しい空回りぶりは、映画を観ている者の心を揺さぶると思う。真面目で、不器用で、自分に足らないことがあることがわかっていても、自信がなくてますます萎縮してしまうトト。表情にも明るさがなく、身体の動きにも伸びやかさがない。先に進む者と、取り残される者の対比が劇的な効果を生み出している。だが先に進めばそれでハッピーかというと……。ここにはコロナ禍の芸能界の現実があると思う。

シネマスコーレにて 
配給:松竹 映画営業部ODS事業室/開発企画部映像企画開発室 
2020年|1時間22分|日本|カラー|ヴィスタサイズ|2.0ch ステレオ 
公式HP: http://rolin-ston-movie.com/ 
IMDb:

世界でいちばん悲しいオーディション [DVD]
BiSH(出演), BiS(出演), ギャングパレード(出演), エンパイア(出演)
SPACE SHOWER MUSIC (2019-10-09T00:00:01Z)
5つ星のうち4.1
¥3,235 (中古品)

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