シン・エヴァンゲリオン劇場版 :||

3月8日(月)公開 全国ロードショー

エヴァの四半世紀がこれで終わる

 赤く変色したパリ中心部。ヴィレの旗艦ヴンダーは凱旋門上空に陣取り、ユーロNERV第1号封印柱の復元作業を開始する。それを妨害するために現れたのは、NERVの攻撃型EVAの大軍だった。マリのEVA8号機によってなんとかそれらを排除し、復元作業は成功。パリは元通りの美しい姿と機能を取り戻し、地下に格納されていたNERVの施設も地上に現れる。施設に保管されていた予備の機体によって、EVAの機体を修理することも可能になった。一方、カヲルの死によってフォースインパクトは食い止められ、強制射出されたシンジはアスカに救出される。目の前でカヲルを失ったショックで茫然自失となったシンジは、何の意思も意欲もないままアスカの後を追うしかなかった。戦いで機体を失ったアヤナミレイ(仮)も二人に同行する。戦いで荒れ果てた土地を抜け、廃墟を抜け、歩き続ける三人。やがて彼らは、思がけない意外な人に救助されるのだった……。

 これから映画を観る人の興を削ぎたくないが、この映画については観る人の年齢や、人生経験や、経歴によって、受け止め方が随分違ったものになってくると思う。26年前にテレビ版の「新世紀エヴァンゲリオン」を見てから、それ以後シリーズをリアルタイムで追いかけ続けている人。僕のように旧劇場版から入った人。リメイク版の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズから流れに合流した人。そこには各人各様、それぞれのエヴァがあり、今回の完結編に至るそれぞれの道のりがある。今回の映画はそんな大勢のエヴァへの気持ちを乗せて、最終的なゴール地点に運んでいく。このゴールはテレビ版や旧劇場版のリメイクやアナザーバージョンにも見えるし、正統な続編のようにも見える。いずれにせよここでは、テレビ版や旧劇場版で投げ出してしまったものを丁寧に拾い集め、再構築していく作業が行われている。コツコツ丁寧に、過去作にきちんと落とし前を付けている。

 だがこの丁寧さが、エヴァらしからぬ態度にも見えるのだ。テレビ版や旧劇場版の、観客を無視して突き放したようなラストシーンを経験してきた人たちにとって、あの不親切でひとりよがりな世界こそがエヴァだった。「他人がどう思おうと関係ない。俺は俺で自分の好きなようにやるんだ!」という作り手の乱暴さが、画面からほとばしっていたのがテレビ版や旧劇場版ではなかったか。エヴァは最後がとっちらかって終わる。観客を油断させて近づけておいて、最後にきつきカウンターパンチを浴びせ、さらには5メートルぐらい先まで投げ飛ばす。そんな「エヴァ体験」をしてきた人たちに、今回の映画のなんとお優しいことか。しかしその後味は悪くない。むしろ僕はこの映画の終盤で、何度か泣きそうになってしまった。過去のエヴァに置いてけぼりを食らったファンたちは、この映画の最後にちゃんと救い出されていると思う。僕はこの映画に大満足。最高の完結編でした。

109シネマズ名古屋(シアター7/IMAX)にて 
配給:東宝、東映、カラー 
2021年|2時間35分|日本|カラー|2.35 : 1|Dolby Digital、IMAX 6-Track 
公式HP: https://www.evangelion.co.jp/final.html 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt2458948/

鷺巣詩郎(アーティスト)
キングレコード (2021-03-17T00:00:01Z)

¥4,180

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中