騙し絵の牙

3月26日(金)公開 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

大泉洋は現代版の無責任男だった

 大手出版社「薫風社」の伊庭社長が急死し、やり手の東松専務が後継社長の座に就いた。新社長はアメリカ留学中の前社長子息が戻ってくるまでのワンポイントリリーフと見られていたが、本人にはそんな殊勝な気持ちはない。伊庭ジュニアが戻ってくるまでに社内改革を断行し、出版業界の構造改革で有無を言わさぬ実績を上げて、自分が社長の座に居座るつもりなのだ。その手始めはまず、赤字が続く雑誌部門の改革。カルチャー誌「トリニティ」編集長の速水輝也は、社長に雑誌の休廃刊をちらつかせられながら企画のテコ入れを進める。一方で文芸誌「小説薫風」の編集部は、そんな社内の空気とは無関係。「小説薫風」こそが薫風社の看板であり、今後も日本文学の世界を支えていくという自負がある。だが東松社長はここにも大なたを振るい、月刊誌だった「小説薫風」を季刊誌に再編成する処断を下した。こうして新人編集者・高野恵は、「トリニティ」に配置換えとなる。

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