グランパ・ウォーズ/おじいちゃんと僕の宣戦布告

4月23日(金)公開予定 TOHOシネマズシャンテほか全国公開

子供部屋を巡る祖父と孫の大戦争

 長年連れ添っていた妻を亡くしたエドが、娘夫婦の家に同居することになった。娘のサリーにすれば、父の一人暮らしは何かと心配だし、かといって老人ホームに行くほど弱っているわけでもない。ならば自分たちと一緒に暮らすのが一番だ。幸いなことに夫も家族もこれに賛成してくれたが、ひとり不満げな仏頂面をしているのが12歳の息子ピーターだった。彼は自分の部屋をおじいちゃんに明け渡し、自分が屋根裏部屋に追いやられることに立腹しているのだ。「領地を取られたら、実力で取り返すまでだ!」。ピーターは祖父に宣戦を布告する。最初はてんで相手にしていなかったエドだが、孫の攻撃がエスカレートする様子に耐えかねて、ついに応戦することを決意する。「そうと決まったら、まず交戦規定を決めよう」「それなに?」「戦争のルールさ」。二人の戦争は、こんなやり取りと共にはじまった。だがピーターの当初の予想に反し、エドはなかなかの古強者だった。

 ロバート・デニーロ主演のファミリー向けコメディ映画。デニーロは祖父のエドを演じる。宣伝用のビジュアルからは、祖父と孫がハチャメチャの死闘を繰り広げる『ホーム・アローン』(1990)のようなスラップスティックを想像したのだが、映画はそれよりずっとおとなしい。『ホーム・アローン』はまかり間違えば殺し合いに発展するような過激な暴力(?)が平然とまかり通っていたが、本作にはそこまでのシーンはない。結果として大ごとになってしまうことはあっても、それは偶然そうなってしまった事故のようなもの。祖父のエドと孫のピーターは「戦争」をしているが、互いに深く愛し合っているという大前提があった上で、互いの譲れない部分について争っているだけなのだ。少なくとも最初はそうだった。だが争いが続き長引くと、当初の目的はどこかに消えて戦いのために戦いが続くようになる。これは家族の物語であると同時に、戦争についての寓話なのだ。

 本作には『ホーム・アローン』のような毒がない。子供が無邪気さの仮面の下に隠している残酷さや残忍さはピーターからは感じられない。それはピーターをいじめる上級生のエピソードに集約されているが、主人公一家の中からは排除されている。みんな毒がなくて、優等生なのだ。それはこの映画のパンチ不足な部分かもしれないが、この映画の良さでもある。誰かが悪意を持っているなら、そこで争いが起きるのは当然だ。子供が留守番をしている家に強盗が入ろうとすれば、それは強盗が悪いに決まっているではないか。だがこの映画が描こうとしているのは、世の中には単純な善玉も悪玉もいないという現実。それでも人は争い、しばしば戦って、取り返しの付かない結果を生み出してしまうことがある。じつは世の中では、この方がずっと厄介なのだ。単純な悪玉がいた方がずっとシンプル。だから自分の不遇を嘆く人は、しばしば争う相手を悪者に仕立て上げたりするのだ。

(原題:The War with Grandpa)

東宝東和試写室にて 
配給:パルコ、ユニバーサル映画 宣伝:スキップ 
2020年|1時間34分|アメリカ|カラー|スコープサイズ 
公式HP: https://grandpa-wars.jp/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt4532038/

ぼくはおじいちゃんと戦争した

ぼくはおじいちゃんと戦争した
posted with AmaQuick at 2021.04.06
ロバート・K・スミス(著), 早川 世詩男(イラスト), こだま ともこ(翻訳)
あすなろ書房 (2021-01-25T00:00:01Z)

¥1,320Amazon.co.jpで詳細を見る

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