ノマドランド

3月26日(金)公開 TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

アメリカ各地を漂流する労働者たち

 2011年。ネバダ州エンパイアのセメント工場が閉鎖され、企業城下町として栄えた町は廃墟になった。住民だったファーンは家を失った後、生活に必要な道具をバンに詰め込んで町を出る。全米を移動しながら路上で車中泊し、必要な現金はあちこちで短期の軽作業などをして稼ぐのだ。ノマド(遊牧民、放浪者)と呼ばれることもあるが、その実態は生活基盤を持たないホームレスだ。ファーンのようなノマドはアメリカ中に大勢いて、彼らを季節労働者としてあてにしている企業も多いし、ノマド同士のコミュニティも成立している。ファーンはそうした中で、多くの仲間たちに出会う。病気を抱えながら旅を続けるスワンキー。自由気ままな放浪者を気取りながら、あれこれファーンに助言してくれるデヴィッド。ノマドたちの指導者ボブ・ウェルス。ある日デヴィッドのもとに、彼の息子だという男が訪ねて来る。間もなく孫が生まれるので、一度帰宅してほしいというのだ。

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ミナリ

3月19日(金)公開 TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

韓国人一家のアメリカン・ドリームの行方

 農場経営のためアーカンソー州の田舎町に引っ越して来た、韓国人移民のジェイコブ・イと家族たち。トレーラーハウスでの暮らしに子供たちは大はしゃぎだが、妻のモニカは最初からこの計画に乗り気ではない。ヒヨコの雌雄鑑定をしながら必死に蓄えた金を、ジェイコブは投資と称して農場に注ぎ込んでいく。農作物の出荷が始まるまで、一家の現金収入は近くの養鶏場で行うヒヨコの鑑定だけだ。鑑定士としてのジェイコブの能力は高く、それだけでも一家が生活していくのに不自由はない。だが彼にはそれより大きな夢があるのだ。夫が農場の仕事をする間は、モニカの仕事が一家を支えている。子供たちの世話のため、彼女は母を韓国から呼び寄せて一緒に生活することにした。だがジェイコブがいくら力を入れても、農場の仕事はなかなか軌道に乗らない。自力で掘った井戸は収穫前に水が涸れ、コストのかかる水道水を畑にまくことになる。一家の財政状態は綱渡りだった。

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