ジェントルメン

5月7日(金)公開 TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー

ヒュー・グラントはダメ男を演じると今も最高!

 ロンドンの大麻王ミッキーの部下レイの自宅を、私立探偵のフレッチャーが突然訪ねて来る。ゴシップ紙の編集長に依頼されてミッキーの組織について調べていたが、思いがけない結果が出たので調査結果を2000万ポンドで買えと言うのだ。ことの発端は、学生時代から手掛けた大麻ビジネスで巨万の富を築いたミッキーが、事業を売却して引退しようとしたことにある。事業の価格は4億ポンド。買い手はアメリカのユダヤ系大富豪マシューだ。ミッキーは自分のビジネスのからくりを紹介するため、マシューを工場のひとつに案内する。だがミッキー引退の噂を聞き、中国系マフィアのドライ・アイも事業継承に食指を動かす。その直後、大麻工場が何者かに襲われた。襲撃犯はその様子を動画サイトにアップ。彼らの面倒を見ているボクシングジムのコーチは、若者たちの命を助けるためミッキーに詫びを入れ、彼らのために働くと申し出る。だがこの事件には黒幕がいた……。

 ガイ・リッチー監督の新作は、ロンドンのギャングたちが血みどろの抗争を繰り広げるサスペンス・アクション映画。本作は語り口に仕掛けがあって、全体が私立探偵ミッキーの書いた「実話に基ずく犯罪映画のシナリオ」という体裁になっている。映画の中の多くの場面は回想シーンではなく、このシナリオの映像化という位置づけになっている。シナリオの売り込みを受けているのが、物語の主要な登場人物の一人でもあるレイ。シナリオの内容はほとんどが取材にもとづく事実なのだが、ところどころで映画用の誇張がある。これをレイがその場で修正することもあれば、修正されずに放置されることもある。映画の中の二人は実際の出来事を知っているから放置してもいいのだが、映画を観ている側には何が本当なのかわからない。フレッチャー役のヒュー・グラントが素晴らしい。この役者が持つ、人当たりの良さ、人懐っこさ、そして胡散臭さが、じつによく生かされている。

 ミッキー役のマシュー・マコノヒーも、上品ぶった装いの下からチラチラと見える粗野な感じがじつにいい。レイを演じたチャーリー・ハナムは、徹底した受けの芝居で次々巻き起こる無理難題の山を片付けていく。ジェレミー・ストロングの腹黒さ、エディ・マーサンの下世話さの間隙を突いて、本名不肖のコーチを演じるコリン・ファレルが物語終盤のまとめ役になる。ご都合主義の匂いがプンプンするのだが、最初に「これは映画のシナリオで随所に誇張があります」と断っているから、これはこれでありかもしれない。豪華キャストを巧みに配分したアンサンブルは『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)や『スナッチ』(2000)を彷彿とさせ、この作品がガイ・リッチー監督の原点回帰と言われるのも納得。しかしこの映画は単に原点回帰しているだけでなく、そこに20年に渡る円熟の技が詰め込まれている。新鮮さはないが楽しい映画だ。

(原題:The Gentlemen)

TOHOシネマズ市川コルトンプラザ(スクリーン9)にて 
配給:キノフィルムズ 
2019年|1時間53分|アメリカ、イギリス|カラー|2.39:1 
公式HP: https://www.gentlemen-movie.jp/ 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt8367814/

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