青葉家のテーブル 劇場版

6月18日(金)公開予定 TOHOシネマズ日比谷ほか全国劇場公開

ネット配信された短編ドラマシリーズの映画版

■あらすじ

 高校2年生の国枝優子は、美大予備校の夏季講習に参加するため一人で上京してくる。東京での滞在先は、母の古くからの友人である青葉春子の家だ。

 青葉家には春子の息子で中学3年生のリクの他に、春子の飲み友だちめいこと、その恋人のソラオが同居。何だか不思議な関係だが、優子はこの家にすぐ馴染んでいく。予備校では同い年のあかねや瀬尾ともすぐ仲良くなった。だが瀬尾に誘われてインターン先だというデザイン事務所を訪ねると、優子のことより母・国枝知世の話題で盛り上がってしまうことに複雑な気分を味わう。

 母の知世は長野で小さな街中華を経営しているのだが、おしゃれな内装とユニークなメニュー、そして本人の気さくな人柄から日本中の話題になっている。何冊もの本を出し、テレビ出演でも取り上げられるなど、今や時の人なのだ。

 そんな彼女の姿を、春子も複雑な気持ちで眺めていた。春子と知世の過去に何があったのだろうか?

■感想・レビュー

 2018年から19年にかけて、全4話の短編ドラマシリーズとして動画サイトなどで発表された「青葉家のテーブル」の映画版。ドラマ版はそれぞれ15分から30分弱程度の長さで、青葉家で暮らす4人の姿に少しずつ焦点を当てる構成になっていた。

 ただしドラマ版は常に大人視線だ。ドラマ版第1話はリクが学校で初めての友人を作る話だが、視点はそんなリクを見守る大人たちの側にある。ドラマ版は初回にこのエピソードを制作することで、作品の立場を鮮明にしたのだと思う。子供が出てきて物語の中心になっていたとしても、ドラマ版の主役はあくまでも大人たちだった。

 今回の映画版は、高校生の国枝優子が主人公になっている。これはドラマ版にはない新しい視点だ。新登場の優子を主人公にすることで、彼女が青葉家の人々を知るのに合わせて、映画版で初めてこの作品に触れる人も青葉家の人々を知ることができる。主役であると同時に、物語の狂言回しになっているのが優子だ。この構成はよく考えられている。

 映画は優子を中心にしていくつかのエピソードが同時進行していくが、こそに描かれているのは王道の青春ドラマだ。新しい友達。仲間たちとの友情。親との葛藤。同世代の異性に対する恋心。好きな人には好かれない恋のすれ違い。早く大人になりたいという背伸び願望。それでいて、まだまだ大人になれない自分に対する焦り……。

 僕は「青春映画」に不可欠な要素を、「何者でもない若者が何者かになろうとしてもがく話」と定義している。優子やリクは、まさにそうした青春の真っ直中にいるのだ。

 文字通りの青春を今生きる二人に対して、母である春子と知世は、青春のシッポをまだ引きずっている人たちとして描かれる。映画ではすれ違った関係を回復するため春子が行動を起こしたように描かれているが、これは優子を東京に送り出した知世に対する春子の応答だと思う。これもまた青春。

オンライン試写にて 
配給:エレファントハウス 
2021年|1時間44分|日本|カラー 
公式HP: https://aobakenotable.com/ 
IMDb: https://www.imdb.com/

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