クルエラ

5月28日(金)公開 全国ロードショー

1970年代を舞台にした青春サクセスストーリー

■あらすじ

 エステラは少女時代から手のかかる厄介な性格だった。気が強くて決して挫けない。相手が男の子だろうが大人だろうが、理不尽なことをされたらやり返す。自分が正しいと思ったとは押し通す。だが時代は1960年代。社会はそんな彼女を認めなかった。唯一の理解者は母親。だが母は亡くなり、天涯孤独の身となったエステラは、大都会ロンドンで悪党として生きていくしかなかった。

 そんなエステラには、ファッションデザイナーになるという子供の頃からの夢がある。悪党仲間のジャスパーとホーレスの後押しもあり、一流デパートへの就職を決めたクルエラ。彼女はそこで一流デザイナーのバロネスと出会い、彼女の工房でデザイナーとしての腕を磨きはじめた。

 だがそこで彼女は知ってしまった。母が死の直前に会っていた相手はバロネスで、母の死は事故死ではなく、バロネスによる殺人だったということを。エステラはバロネスに復讐することを決意する。

■感想・レビュー

 ディズニーアニメの古典的長編アニメーション映画『101匹わんちゃん』(1961)のヴィラン(悪役)、クルエラ・ド・ヴィルの若き日を描いた実写作品。ただしこの物語は、そのまま『101匹わんちゃん』の世界につながるわけではない。かといって、アニメ版の実写リメイク『101』(1996)や続編『102』(2000)に連結するわけでもない。『101匹わんちゃん』と『クルエラ』の関係は、『眠りの森の美女』(1959)と『マレフィセント』(2014)と同じだ。

 映画は1970年代のファッション業界を舞台にした、一人の少女のサクセスストーリーになっている。孤児となった彼女は頼る者も助けてくれる者もない大都会の中で、自分の意思と才能だけでのファッション業界のカリスマへと駆け上っていく。かなりご都合主義の映画に見えなくもないが、ストーリーの基本線は貴種流離譚であり復讐譚。これはいつの時代にも受け入れられる、普遍的な物語だ。

 クルエラのルックスや行動は『101匹わんちゃん』を下敷きにしつつ、今回はその人物造形を現代的にアップデートしている。今なら女の子の「個性」として容認されることが、1960年代のイギリスでは受け入れられなかった。彼女の行動は男社会への反逆でもある。『クルエラ』はフェミニズム映画なのだ。ジャスパーとホーレスのキャラクターも豊かに肉付けされて、単なる間抜けな手下を脱している。

 それにしても、ハリウッドで活躍する女性たちは悪役を演じると生き生きする。クルエラ役のエマ・ストーンはもともとその手の役が好きで得意そうだが、今回はエマ・トンプソンが強烈な悪役バロネスを演じているのが見どころ。バロネスは『101匹わんちゃん』のクルエラにも似た、鼻持ちならない大富豪のサイコパス。このぐらいやりたい放題の悪役がいてこそ、クルエラの活躍に観客は共感して応援する。これは続編を期待したい。

(原題:Cruella)

ユナイテッド・シネマ豊洲(1スクリーン)にて 
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 
2021年|2時間14分|アメリカ、イギリス|カラー|1.85 : 1 
公式HP: https://www.disney.co.jp/movie/cruella.html 
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt3228774/

クルエラ オリジナル・サウンドトラック

クルエラ オリジナル・サウンドトラック

posted with AmaQuick at 2021.06.01ヴァリアス・アーティスト(アーティスト)
WALT DISNEY RECORDS (2021-06-23T00:00:01Z)

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