7月17日(土)公開予定 シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
爆走する91分のジェットコースター映画!
■あらすじ
南インドのケーララ州。鬱蒼としたジャングルの合間に切り開かれた小さな村に、アントニの肉屋があった。ここの肉は新鮮なことで評判だ。何しろ毎日生きた水牛を仕入れて潰し、まだ湯気が出ているような新鮮な肉を切り分けて売っているのだ。
だがある日、アントニの店に連れてこられた水牛が突然暴れて逃げ出した。慌てて追いかけるアントニ。その様子を見た村人たちも、水牛捕獲に加勢する。だが逃げる水牛も命がけ。取りつく人間たちを振り払い、蹴散らしながら、村とその周辺を駆け回る。肉屋としての面目丸つぶれになったアントニは、まず自分が捕まえねばと血まなこで水牛を追う。
だが水牛は捕まらない。それどころか水牛を捕まえて謝礼をせしめようと、多くの男たちが水牛を追い回し、人数はどんどん増えていく。隣村の腕自慢たちがやって来た。噂を聞きつけて札付きの不良も村に戻ってくる。
はたして水牛を捕らえることはできるのか?
■感想・レビュー
インドでは牛が聖なる動物とされて、食べるなどもってのほか。そんな日本人の常識を吹き飛ばすように、映画は牛の屠畜と解体シーンからスタートする。インドは民族や宗教が入り混じる国だ。国民の8割を占めるヒンズー教では牛を聖なる動物とするが、この映画に登場する村はキリスト教なのだ。そこでは牛肉が日常の食材として大量に消費されている。インドが多民族国家であることを実感させる映画だった。
それはさておき、この映画は何やらただならぬ映画である。肉屋から牛が逃げ出して、村人たちが大騒ぎという物語は、それだけ取ればどこかコミカルで皮肉なユーモアを感じさせる。だがこの映画はそんな思惑を乗り越えて、不穏で殺伐とした暴力の世界へと突入するのだ。
村に逃げ出した水牛は、人間が制御できない野性の暴力そのものだ。これはスピルバーグの『ジョーズ』(1975)に似ている。放たれた水牛は、もはや通常の水牛ではない。屈強な男たちが何十人がかりで追いかけても、それを嘲笑うように水牛は村の中を駆け抜けていく。水牛は呪いのように、村とその周辺を蹂躙する。
リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ監督の作品は、これが日本初上陸だと思う。今回の映画は泥臭く素朴にも見える題材を扱っているが、音楽や音響、カメラワーク、特殊効果などは、ミュージックビデオのように尖った表現。暴れ牛は実際の水牛とアニマトロニクスだというが、画面を見ていても区別が付かない。一体どうやって撮影しているのだろうか。
映画は終盤になるとさらにヒートアップし、松明を掲げながら大声を上げて走り回る男たちの群れが画面を埋め尽くす。このモブシーンの生み出す高揚感は、一言で言えば「祭り」だ。ワッショイワッショイ、ソイヤソイヤ!
黙示録の引用で幕を開けた映画は、再び黙示録の引用で幕を閉じる。最後に暗闇に鳴りひびくのは、人類終末を告げる天使のラッパだろう。
(原題:Jallikattu)
シアター・イメージフォーラムにて
配給:ダゲレオ出版(イメージフォーラム・フィルム・シリーズ)
2019年|1時間31分|インド|カラー|1 : 2.39|5.1ch
公式HP: http://www.imageforum.co.jp/jallikattu/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt8721556/
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