5月21日(金)公開 全国ロードショー
荒唐無稽だが痛快なアクションコメディ!
■あらすじ
どんな世界にも派閥はある。派閥があれば、そこには衝突や戦いが生じるものだ。OLの世界も、その例外ではない……。
大手メーカーの三富士株式会社では、狂犬の紫織、悪魔の朱里、大怪獣悦子の異名を持つ3人のOLたちが、暴力的な社内抗争を繰り返していた。だがこの抗争は、ある日を境にして一変する。中途採用された北条蘭が、あっという間に3人を叩き伏せてトップに立ってしまったからだ。
そんな抗争とは別に、社内にはもちろん「普通のOL」たちも存在する。普通OLの田中直子は社内抗争を脇目で眺めながら、同じ部署に配属された蘭と通勤経路が同じ事から仲良くなった。蘭の周囲には常に暴力が渦巻いているが、蘭は直子に迷惑がかからないよう配慮してくれている。二人はいつも一緒だった。
だがある日、直子は一部上場企業トムスンのOL軍団に襲撃される。トムスン軍団の目的は、直子を人質にして蘭を呼び出し潰すことだった。
■感想・レビュー
バカリズムのオリジナル脚本を、関和亮監督で映画化したアクション・コメディ映画。主人公の直子を演じるのは永野芽郁。蘭を演じるのは広瀬アリス。三富士の凶暴なOLたちには、菜々緒、川栄李奈、大島美幸といった顔ぶれ。トムスン軍団を率いるお局OLに遠藤憲一。ラスボスが小池栄子。他にもキャスティングは結構分厚くて見応えがある。
この映画は「ヤンキー漫画」やその映画化作品のパロディだ。暴力的な抗争をしているのが中高生男子ではなく、社会人OLになっていることで生まれるミスマッチ感が笑いを誘う。だがこれは、笑いに底に高度なジェンダー批評を隠しているのではないだろうか。
ヤンキー漫画の映画化では、30前後のいい年した大人たちが、平気な顔で高校生を演じている。高校生が血みどろの抗争をしていても、誰もそれをとがめない。映画を観ている人の多くは、その世界観を何の違和感もなく受け入れている。ならばこれを男女入れ替えて、OLが血みどろの抗争をしたっていいはずだ。なぜヤンキー映画はシリアスなアクション映画になり、OLが同じ事をするとコメディになってしまうのか。そこには映画を受け入れる側の、男性性や女性性に対する先入観があるのかもしれない。
映画の結末にあるオチは、物語としてはつまらない。正直言って少し興ざめした。しかしこのオチにこそ、高度なジェンダー批評がある。ホモソーシャルな集団の中では、男性構成員の価値が付き合っている女によって格付けされるではないか。いかにもご都合主義の、取って付けたような唐突なオチは、そんな価値観に対する強烈な異議申し立てなのだ。このオチがつまらないのだとしたら、それは男社会の価値観がつまらないってことではないのか。
といった小難しい理屈をこねなくても、最初から最後まで実に楽しい映画。出演している俳優たちから、役柄を思い切り楽しんでいる様子が伝わってくるのが良い。
ユナイテッド・シネマ豊洲(12スクリーン)にて
配給:ワーナー・ブラザース映画
2021年|1時間42分|日本|カラー
公式HP: https://wwws.warnerbros.co.jp/jigokumovie.jp/
IMDb: https://www.imdb.com/title/tt14605182/
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