パンケーキを毒見する

7月30日(金)公開予定 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

デタラメな菅義偉政権の生みの親は誰なのか?

■あらすじ

 この映画は菅義偉首相本人はもちろん、彼に近い国会議員、市議会や県議会議員、マスコミや評論家、利用しているホテルや飲食店などにも取材を拒否された作品である……。

 菅義偉というのはいかなる人物か? それは気配りの人だという。少し斜に構えているマスコミ記者も、直接本人に会って取材やインタビューをすると、一発でその人柄に惚れ込んで応援団になってしまう。

 彼は大学卒業後に政治家秘書として政治の世界に足を踏み入れたが、当時から腰が低く、人一倍仕事ができるから、周囲の評価は高かった。やがて横浜市長選に立候補。ベテランの現職を破って38歳で初当選。その後は横浜の影の市長と呼ばれるまでの実力を付け、その実績を引っさげて国会議員になった。

 だが腰の低さだけで一国の首相にはなれるほど、この国の政治は甘くない。菅義偉は優れた政治的嗅覚を持ち、ここぞという場所で大博打に打って出る勝負師でもあった……。

■感想・レビュー

 現職の内閣総理大臣・菅義偉をネタにしたドキュメンタリー映画。「政治バラエティ映画」と銘打っているが、これは映画の冒頭で正直に暴露されているように、首相本人やその周辺にまったく取材できなかった結果だと思う。この映画は、菅首相をひどく遠巻きに描く。首相本人にまったく肉薄できていない。それはこの映画の大きな弱点だが、同時にこの映画の個性にもなっている。

 この映画が描く菅義偉は、ドーナツの穴みたいな存在だ。それは巨大な真空であり、虚無であり、空白地帯。この映画を観ても、菅義偉という人物についてはほとんど何もわからない。これは「菅義偉についてのドキュメンタリー」としては致命的な欠点だと思う。だがドーナツの実質は、穴の周囲にある。この映画は菅義偉という巨大な穴の周囲をぐるりと取り囲み、巨大な真空を生み出しているものが何なのかを描いていく。それは結局のところ、選挙で自民党を勝たせている我々自身なのではないのか?

 この映画が面白いかつまらないかで言えば、さして面白いとは思えない。菅義偉本人がもっと映画の主役になっていれば、彼の不誠実さや無能さを指差して笑うコミカルな人物ドキュメンタリーになったかもしれない。でもこの映画はそうした作りにならない。菅義偉をやんわりと批判しつつ、批判の矛先はいつの間にか我々自身に向いてくる。

 政治に無関心な人々。政権のデタラメさにあきれ返りながら、それを許してしまう人々。不甲斐ない野党に失望し、与党批判のきっかけさえ与えようとしない人々。菅内閣はひどいかもしれないが、その前の安倍内閣からひどかったのだ。でも選挙をすれば必ず自民党が勝ってきた。現政権は有権者である日本国民の選択の結果であって、現政権を強く批判すればするほど、それはブーメランのように自分達のもとに戻ってくることになる。

 この映画が楽しくないのは当然の話。でも、今年は選挙があるよね?

角川映画試写室にて 
配給:スターサンズ 配給協力:KADOKAWA 
2021年|1時間44分|日本|カラー|ビスタ|ステレオ 
公式HP: https://www.pancake-movie.com/ 
IMDb: https://www.imdb.com/

菅義偉の正体 (小学館新書 も 9-1)

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パンケーキを毒見する」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: ドキュメンタリー映画はあらすじに苦労する | 新佃島・映画ジャーナル

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